2017年7月12日(水)
主張
衆参「加計」質疑
行政ゆがめた疑惑徹底審議を
安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」が開設を予定している獣医学部をめぐって、「行政がゆがめられたのではないか」との疑惑を解明する衆参両院の閉会中審査が10日開かれました。内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などと圧力をかけていたことなどを指摘してきた前川喜平前文科次官が、改めて首相官邸などからの働きかけを証言、疑惑はいっそう深まりました。今回の閉会中の審査は安倍首相などが出席しないまま開かれたもので、疑惑の解明には首相らが出席した閉会中審査はもちろん、臨時国会開催が不可欠です。
国会閉幕後も批判が噴出
国会閉会中の審査は、安倍政権が「加計学園」の獣医学部開設の疑惑をまともに説明しないまま通常国会を閉幕してしまい、その後の東京都議選で自民党が大敗するなど国民の厳しい批判が噴出する中で開かれました。首相は出席せず、衆参両院でそれぞれの内閣委員会と文部科学委員会(衆院)文教科学委員会(参院)との連合審査という形です。共産、民進、自由、社民の野党4党は、憲法53条に基づき臨時国会の開催を申し入れていますが、内閣から開催の回答はまだありません。
「加計学園」の獣医学部開設をめぐっては、これまですでに内閣府が文科省に「総理のご意向」などと伝えていたことや、首相側近の和泉洋人首相補佐官、木曽功内閣官房参与(当時)らが繰り返し、文科省に開設の決断を促していたことが明らかになっています。通常国会閉幕直後には、安倍首相の側近中の側近と言われる萩生田光一官房副長官が、首相が開設の「おしりを切っていた」と文科省幹部に伝えたと読み取れる文書(「10・21萩生田副長官ご発言概要」)の存在も発覚し、首相周辺の働きかけが行政をゆがめた可能性がいっそう強まっています。
閉会中審査で前川氏は、安倍政権が推進した「国家戦略特区」に指定された今治市での「加計学園」獣医学部開設に「不公平、不透明な部分がある」ことを繰り返し指摘、「初めから加計学園に決まるようプロセスを進めてきたように見える」として、和泉補佐官や萩生田官房副長官から強い圧力があったことを明らかにしました。
前川氏は文科省の調査でも存在が確認されていない萩生田副長官の開設検討中の発言記録(「10・7ご発言概要」)についても在職中に省内で説明を受けた際の文書であると明言。萩生田氏も当時文科省幹部と会談していたことは認めました。前川氏は「10・21ご発言概要」についても「信ぴょう性が高い」と発言しました。
閉会中審査には「総理のご意向」と発言したとされる内閣府の藤原豊審議官(当時)や和泉補佐官は出席せず、出席した政府側答弁も「記憶にない」などと疑惑にふたをするばかりです。首相や関係者に出席を求め徹底して疑惑を解明することは引き続き欠かせません。
首相の開き直り許さず
行政をゆがめた疑惑への批判は募る一方です。国会閉幕後、首相は「加計学園」1校のために獣医学部の開設を認めようとしてきたことをごまかし、「規制緩和」で獣医学部は2校でも3校でも作ればいいといいだしています。
安倍首相の開き直りを許さず、疑惑の徹底究明を急ぐべきです。