2017年7月10日(月)
“G20より国境なき連帯を”
ハンブルクで8万人デモ
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【ハンブルク=島崎桂】20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたドイツ北部ハンブルクで8日、「G20ではなく国境なき連帯を」を合言葉にした大規模デモが行われました。G20諸国を中心に、世界各国の市民約8万人(主催者発表。警察発表で2万人)が参加。少数の富裕国が世界の動向を議論する枠組みに抗議し、より公正で民主的な国際秩序を求めました。参加者は、途上国支援や気候変動対策の強化、紛争の停止や過度な自由貿易の見直し、移民・難民支援など多くの課題で対案を提案。デモ隊のシュプレヒコールや林立するプラカードが数時間にわたりハンブルク市中心部を埋め尽くしました。
平和問題では、各地での紛争に参加するG20諸国を糾弾し、「暴力を止めろ」と唱和。環境分野では、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を離脱した米国への批判と併せ、「第2の地球はない」と訴えました。デモに参加したドイツ人女子大生(21)は、「G20は平和を口にしながら、実際には戦争と武器輸出で利益を得ている。紛争や戦争の当事国、犠牲国も不在の中、口先だけの平和の議論は意味をなさない」と語気を強めました。
ブラジルから参加したビクトル・ベントゥーラさん(29)は、「G7からG20への拡大は一種の発展かもしれないが、依然として透明性は低く、民主主義とは程遠い。世界経済や平和、環境など国際的な問題は、全ての国が参加する国連などの枠組みで話し合うべきだ」と語りました。
ハンブルク市内では6、7の両日、G20に反対する一部の群衆と警官隊の衝突が相次ぎ、双方に多数の負傷者が出ました。治安当局が厳戒態勢を敷いた8日のデモでは、「暴力は何も生まない」「私たちの武器は知恵だ」などと書いたプラカードを手に、平和的なデモを求める参加者の姿も多くみられました。