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2017年7月9日(日)

歴史的な核兵器禁止条約を採択 国連会議

加盟国約3分の2 122カ国が賛成

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(写真)核兵器禁止条約の採択が決まった歓喜の中で握手を交わす被爆者のサーロー節子さん(中央)と藤森俊希さん(その左)=7日、ニューヨークの国連本部(池田晋撮影)

 【ニューヨーク=池田晋】人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約が7日、ニューヨークの国連本部で開かれていた「交渉会議」で、122カ国の圧倒的多数の賛成で採択されました。オランダが反対、シンガポールが棄権しました。採択が決まった瞬間、議場は総立ちの拍手から歓声、そして抱擁へと変わり、エレン・ホワイト議長、各国政府代表、市民社会代表は数分間続いた歓喜の渦の中で新たな歴史の幕開けを祝福しあいました。

 採決に際し、ホワイト議長は全会一致での採択を提案しましたが、米国の「核の傘」の下にある国で唯一会議に参加してきたオランダが投票での採決を提案。投票結果は、禁止条約交渉開始と早期締結を要請した昨年12月の総会決議の113カ国の賛成を上回り、国連加盟国の約3分の2にあたる国が賛成票を投じました。

 市民社会の代表として発言したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(85)は、「この瞬間がくるとは思っていなかった。心と知力を尽くしてくれたことに感謝したい。核兵器廃絶に近づく壮大な成果で、この日を70年間待ち続け、喜びに満ちている。核兵器の終わりの始まりだ。核兵器は道義に反してきただけでなく、今では違法となった。世界の指導者はこの条約に署名すべきだ」と強調しました。

核兵器禁止条約採択 各国政府代表 喜びの声

ヒバクシャが交渉の羅針盤示す

市民社会の貢献 歴史的成果結ぶ

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(写真)核兵器禁止条約の採択が決まった瞬間に立ち上がって拍手する各国政府代表ら=7日、ニューヨークの国連本部(池田晋撮影)

 核兵器廃絶にむけた一歩を踏み出した核兵器禁止条約。その実現のため取り組んできた各国政府代表からは、喜びと歓迎の発言が相次ぎました。

 採択後には、40人近くの政府代表が歴史的な壮挙をたたえあいました。拍手がタブーの国連会議の常識を打ち破り、発言が終わるたびに、大きな拍手が湧くなど、高揚感のある雰囲気のなかでの討論となりました。

 なかでも「ヒバクシャ」の果たした役割に大きな感謝が表明されました。南アフリカのディセコ大使は「今日ここにいる『ヒバクシャ』に賛辞を送りたい。彼らがいたからこそ、この条約が可能になった」と述べました。

 会議の正式な構成メンバーであった市民社会にも、多くの代表がエールを送りました。「この交渉の道義的な羅針盤を示した。交渉の真の『同僚』だ」(チリ)、「強力な条約をつくるうえで、重要な貢献をした」(ブラジル)、「この歴史的成果は、市民社会の積極的参加抜きにはあり得なかった」(エジプト)。

違法化の意義

 条約が核兵器を違法化する意義も語られました。

 キューバのベルソン大使は「この条約で、核兵器は反道徳的、非人道的なだけでなく、違法なものとなった。核兵器の『使用の威嚇』も禁じ、抑止力にもとづく政策も違法になった」と指摘。マレーシアのイクラム大使も「条約は核兵器に『悪の烙印(らくいん)』を押すものだ。その政治的、法的影響が、核兵器廃絶へのさらなる前進を促すと思う」と述べました。

 オランダは「NATO(北大西洋条約機構)の(核戦略の)義務と条約の禁止条項は相いれない」と唯一反対票を投じましたが、「核兵器廃絶は支持する。禁止条約の運動には積極的な面もある」と述べました。

人々の希望に

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(写真)核兵器禁止条約交渉の国連会議終了後、握手する志位委員長(左)とオーストリアのハイノッチ軍縮大使=7日、ニューヨークの国連本部(党代表団提供)

 国連の中満泉軍縮担当上級代表は「この条約締結は、核なき世界の追求へ生涯をささげてきた全ての人々の希望のともしびとみなされるべきものだ」と強調しました。

 会議終了後も、多くの政府代表や市民社会代表が会場内外に残り交歓が続きました。日本共産党の志位和夫委員長もその輪のなかに入りともに喜びを分かち合いました。

 志位氏は、議長席でホワイト議長と固く握手を交わし、喜びを共にしました。条約実現に大きな役割を果たしてきたオーストリアのハイノッチ軍縮大使や、バチカン(ローマ法王庁)の代表とも言葉を交わし、核兵器廃絶というこれからの大きな課題を確認し合いました。

 一方、会議に不参加の日本政府は採択後、別所浩郎国連大使が国連内で会見を開き、「署名することはない」と条約へ背を向けました。


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