2017年7月7日(金)
築地の保存活用要請
国際学術組織 建築史的に価値
20世紀の価値ある建築・環境遺産の保全を求める建築家やエンジニア、研究者らでつくる国際組織「ドコモモ」の日本支部「ドコモモ・ジャパン」は3日、東京都の小池百合子知事に対し、都が再開発するとした築地市場(中央区)について「高い建築史的価値が認められる」として保存活用の可能性を検討するよう要請しました。
築地市場は1934年、鮮魚・青果を中心に生鮮食料品を円滑に供給する施設として建設されました(35年開場)。建物は当時敷設された鉄道引き込み線に沿って曲線状に配置され、独特の形状をしています。2003年には同支部が「日本を代表するモダニズム建築」100件の一つに選定しています。
小池知事は6月、中央卸売市場を東京ガス豊洲工場跡地(江東区)に移転し、築地市場は5年後をめどに再開発して「改めて活用する」との基本方針を示しました。築地市場の業者からは「汚染を除去できていない豊洲は、生鮮食料品市場にふさわしくない」などの声が上がっています。
同支部は、築地市場の建築史における価値として、▽完成時に「大量の生鮮食料品を迅速に入出荷できるよう、配置計画が工夫されていた」▽「カーブしながら続く鉄骨の大架構(柱とはりで屋根などを支える)による稀有(けう)の空間構成をつくり出している」▽「近隣の勝鬨橋(かちどきばし)とともに、鉄骨造によるユニークな水辺景観をつくり出している」―などとしています。
築地市場の「新たな保存活用の可能性」について慎重な検討を求めるとともに、保存活用に対して建築の専門家として「できる限りのご協力をさせていただく」と表明しています。