2017年7月5日(水)
きょうの潮流
怒りっぽい、すぐにキレる、相手を攻撃する―。怒りという感情は否定的なイメージでみられる場合が多い。たしかに怒りを抑制できなければ円滑な人間関係はつくれません▼精神科医の和田秀樹さんによると、生きる原動力としての怒りもあるといいます。世の中を進化させる源泉は多くの場合、怒りのエネルギー。大衆の怒りをぶつけるパワーの強さは政治や経済を健全なものにする機能につながると(『「怒り」の正体』)▼政権へのさまざまな怒りが噴き出した都議選最終日の秋葉原。安倍首相は最初で最後の街頭演説で「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びました。抗議の意思を示すために集まり、安倍辞めろとコールした人たちに向かって▼あれでまた議席を減らしたと自民党の中からも聞こえてきた恨み節。自分に従う者は味方、反対する者は敵と国民を分ける首相。原発の再稼働や沖縄の米軍基地建設に反対する市民も打ち倒すべき敵にみえるのでしょう▼人は怒りが激しかったり、長く続いたりすると、心も体もまいってしまいます。嫌なことは早く忘れたいという思いも。しかし、この政権は新たな怒りを次々に呼び起こします。菅官房長官は、こんな人たち発言に「全く問題ない」と例のごとく▼公共の正義の立場から感じる公憤は、世の中を良い方向に変えていこうとするエネルギーだと和田さん。秋葉原で声を上げた青年が訴えていました。「この国の政治や社会は安倍首相のものではない、私たちのものだ!」