2017年6月30日(金)
社保庁元職員1人に勝利判決
解雇回避義務怠る
東京地裁
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社会保険庁(社保庁)の元職員3人が分限免職(解雇)の撤回を求めた裁判で、東京地裁の清水響裁判長は29日、東京・八王子社会保険事務所(当時)に所属していたAさんの処分を取り消す判決を出しました。分限免職回避努力義務を尽くしておらず、裁量の範囲を逸脱、乱用しており違法と断罪しました。2人については請求を棄却しました。
全厚生労働組合(国公労連加盟)の組合員が全国7地域で起こしている解雇撤回裁判で、初めて処分を取り消す画期的な判決です。
判決は、社保庁から年金業務を引き継いだ日本年金機構が、2010年1月の発足時点で、正職員381人の欠員が生じていたことを指摘。予定されていなかった准職員の追加採用が2度行われており、「正規職員の追加採用についても法律上の障害はなかった」としました。
Aさんが正規職員のみを強く希望していることを認識していたことを指摘。社保庁長官らは、「分限免職回避に向けた最低限の容易かつ現実的な努力義務として、この欠員の活用の検討を機構設立委員会に要請すべき義務を負っていた」とし、「これすらも怠った」としました。
判決は一方で、分限免職回避の努力義務について政府、厚生労働相にあるとしながら、「あくまでも政治的な義務」とし、各地の判決で認定されている厚労相の法的な回避努力義務については認めませんでした。