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2017年6月29日(木)

安倍政権の劣化象徴

「自衛隊としてお願い」 稲田防衛相発言

中立性侵し社会の脅威

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 「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」―。27日夜、東京都議選の自民党候補の応援で行った稲田朋美防衛相の発言は、最も中立性が求められる自衛隊という実力組織を選挙のために利用する重大発言であり、即刻、辞任に値します。稲田氏をかばい続けてきた安倍晋三首相の責任も免れません。


写真

(写真)安倍首相

 「政治的活動に関与しない」―。防衛省職員や自衛隊員が任官の際、読みあげる「服務の宣誓」の中の一文です。今年4月、防衛省内での入省式で代表者が稲田氏に対して宣誓を行い、各地の自衛隊基地で行われた入隊式でも同様の宣誓が行われました。

 ところが、「宣誓」された稲田氏が、防衛省職員や自衛隊員を自民党候補の選挙運動に動員しようという発言を行ったのです。組織のトップとして、究極の裏切り行為と言わざるを得ません。

 宣誓の中の一文は、「政治的行為」の「制限」などを規定した自衛隊法や施行令などに基づきます。これらは国家公務員の「政治的行為」を「制限」している国家公務員法をベースにしたものですが、自衛隊は強大な軍事力を有した実力組織です。公務員の中でも、とりわけ中立性が求められるのは当然です。

 それすら理解できていない稲田氏の大臣資質の欠如は決定的であり、発言の撤回で済む問題ではありません。

 これまでも自衛隊OB組織を中心に、国政選挙や地方選挙で特定候補支持の締め付けが行われてきた実態は存在していました。しかし、現役の隊員にまで選挙動員を呼びかける発言は前代未聞です。

 仮に、特定候補支持の動きが自衛隊内で広がればどうなるか。

 これまで、政治活動の「制限」規定は、自衛隊の中立性を確保するだけではなく、個々の隊員の意思表明を萎縮させてきた負の側面もありました。ところが、自衛隊のトップである防衛大臣がこの規定を平然と踏みにじったのです。これほどの不公平はありません。

 自衛隊は上意下達の組織です。特定候補の支持が個々の隊員やその家族に押し付けられ、「思っていることを言えない」だけではなく、「応援してもいない候補の支持」の強要で、思想信条の自由はさらにじゅうりんされることになります。

 その先には、特定の政治勢力のために動く軍隊への変質につながる危険も見えてきます。そうなれば、市民運動の暴力的な弾圧が容易に行われるようになるなど、市民社会全体の危機にもつながりかねません。

かばい続けた責任重大

 稲田氏の閣僚としての資質はこれまでもたびたび、問題視されてきました。

 陸上自衛隊が派遣されていた南スーダンの首都ジュバで起きた政府軍・反政府勢力の「戦闘」を「憲法9条上の問題になる」として、「武力衝突」とごまかし続けました。防衛省が南スーダンの戦闘状況を記録した「日報」を組織的に隠蔽(いんぺい)していたとの指摘に対しても、稲田氏はまともな説明責任を果たしていません。

 ところが、野党が稲田氏の辞任要求を突き付けても、安倍首相は「今後とも誠実に職務に当たってほしい」と続投を指示。稲田氏が「教育勅語の精神を取り戻すべきだ」などと戦前の軍国主義教育を称賛し、「森友学園」の訴訟問題に関し虚偽答弁をしていたことが明らかになっても、安倍首相は一貫して稲田氏をかばい続けてきたのです。

 自衛隊を政治利用する今回の稲田氏の暴言に対しても、安倍首相は問題視せず、続投させる意向を示しています。

 深刻なのは、親しい人物を閣僚に据え、その資質にかかわらず延命させ続ける安倍首相の姿勢が“忖度(そんたく)”を生み、肝心の国民に対する説明責任を放棄する政治土壌を広げていることです。

 「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題では、安倍首相の「腹心の友」が経営する同学園ありきで計画が進んだ疑いがもたれているにもかかわらず、安倍首相は真相解明に取り組むどころか、率先して「規制改革には抵抗勢力が必ず存在する」と居直っています。

 だから、萩生田光一官房副長官が関与したことを示す内部文書が新たに発覚しても「(文科省の出向者が)陰で隠れて本省にご注進した」(山本幸三地方創生担当相)と職員に責任を転嫁する異常答弁がまかり通る事態となっているのです。

 菅義偉官房長官に至っては、文科省が存在を認めた後も「怪文書」などと呼んだ自らの発言を撤回せず、「言葉が独り歩きしたことは残念」などと居直り続けています。

 トップからモラル崩壊を起こす安倍政権の「おごり」は、もはや末期症状ともいえる様相を呈しています。暴走を続ける安倍政権に歯止めをかけるには、7月2日に投開票される直近の都議選で民意を示すしかありません。

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どうにも止まらない…

 東京都議選告示の直前に、豊田真由子衆院議員(埼玉4区)=22日、離党届提出=による政策秘書への暴行・暴言が報じられ、自民党議員の劣化ぶりへの世論の批判が高まっています。2015年以降、暴言・失言や不祥事で離党したり政府役職を辞任するなどした議員は7人に上ります(表)。衆院議員を辞職した宮崎謙介氏以外は、議員の職にとどまっています。


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