2017年6月27日(火)
主張
首相の改憲案発言
都議選での改憲許さぬ審判を
5月3日の憲法記念日に、憲法9条に自衛隊を書き込み2020年に施行するとの改憲を公言した安倍晋三首相が、24日の講演会では自民党改憲案を次の臨時国会で衆参の憲法審査会に提出すると発言しました。自民党の下村博文幹事長代行は自民党案を11月上旬までにまとめるとしています(25日)。衆参の憲法審査会では改憲案は話題にもならず、自民党の憲法改正推進本部(保岡興治本部長)でも検討が始まったばかりというのに、首相主導の改憲推進は異常の極みです。全国が注目する東京都議選で安倍改憲を許さない審判を下すことがいよいよ重要です。
内輪メディアで異常姿勢
憲法施行70年の憲法記念日に、首相としての憲法尊重擁護義務(憲法99条)も踏みにじって、自衛隊を9条に書き込む改憲を20年に施行すると安倍首相が発言したのは、改憲派として知られる「読売」の同日付インタビューと同日開かれた改憲勢力「日本会議」系の集会へのビデオメッセージでした。次の臨時国会に自民党改憲案を提出するという今回の発言も、「読売」と並ぶ改憲派の新聞「産経」系の月刊誌『正論』懇話会の神戸市の設立記念講演会です。
国会や国民の前では大っぴらに改憲を語ることができない中で、改憲派のメディアや内輪の集会では改憲をあおりたてる、安倍首相の危険で、自信のない態度が浮き彫りになっています。
首相が、自民党改憲案の提出時期を明言したのは今回が初めてです。改憲の20年施行のために、衆参の憲法審査会で改憲原案を作成し、3分の2以上の議員の賛成で改憲案を発議し、国民投票にかける時間を計算に入れたものともみられていますが、改憲原案を提案する憲法審査会では改憲案づくりは話題にもなっていません。先日閉幕した通常国会でも衆院での審査会はテーマごとに何回か開かれただけで改憲原案の絞り込みなどとは程遠く、参院では1回も審査会が開かれていません。安倍氏は「自民党総裁」としての発言だと言い訳しますが、自民党案を提案するからと、改憲原案の審議を急げなどというのは、首相による立法府への乱暴な介入です。
安倍首相は改憲案の具体的な内容としては、憲法記念日での発言同様、「9条1項、2項は残しながら自衛隊の意義と役割を憲法に書き込む」ことや高等教育を含む教育の無償化をあげています。安保法制=戦争法施行でアメリカが始める戦争に参加する集団的自衛権行使に道を開いた自衛隊の「意義と役割」を9条に書き込めば、「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権否認」などを定めた現行の1項、2項は全く空文化し、それこそ際限のない武力行使に道が開かれることになります。安倍首相が目指す9条などの改憲策動は、憲法の平和原則そのものを破壊する危険この上ないものです。
重要性増す都民の一票
安倍首相の改憲スケジュールは、つい先日(23日)、自民党憲法改正推進本部長の保岡氏が打ち出した年内に改憲案をまとめるという案さえ前倒ししたものです。首相の異常な高ぶりは明らかです。
次の臨時国会に自民党が改憲案を出すとなれば、都議選での審判が決定的な意義を持ちます。都民はもちろん全国民の力で安倍改憲阻止に力を尽くすときです。