2017年6月25日(日)
主張
都議選と市場移転
世界の築地 未来に引き継ごう
7月2日投票の東京都議選の大争点のひとつは、築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)への移転問題です。小池百合子都知事が告示直前、「豊洲移転・築地再開発」の「基本方針」を表明、それをめぐる議論が交わされています。土壌汚染が深刻な豊洲移転で「食の安全・安心」が確保できるのか。世界に誇る「築地ブランド」を守り発展させるにはどうすべきなのか。各党の姿勢が問われています。
豊洲移転方針の再検討を
小池知事の「基本方針」(20日発表)は、築地市場を豊洲に移転するとともに、築地も市場としての機能を残すなどというものです。知事が「築地を守る」と述べ、築地の土地を売らず市場機能を確保する方向を見いだすとしたことは重要です。石原慎太郎都政以来の一貫した方針だった「築地売却」を、世論と運動で転換させたことは明らかです。
しかし、築地をいったん更地にして移転を進めることは「食の安全・安心」の確保の点から大問題です。豊洲は30年以上、石炭などから都市ガスが製造され、発がん性物質のベンゼンなどの有害物質が地中深くしみわたった土地です。汚染対策を行っても今年3月、環境基準値の100倍のベンゼンが検出され、知事自身も6月議会で「無害化は達成できていない」と謝罪していました。新たにコンクリートを床に敷くなどの「追加対策」をするといっても、コンクリート劣化などで気化した汚染物質の上昇を完全には防げないと実効性を問う声が上がっています。生鮮品を扱う市場機能を豊洲に移転することは「食の安全・安心」の面からいってありえません。
世界が注目する「築地ブランド」を守る点ではどうか。水産物取扱量では世界一を誇り、都心の一等地にある築地を支えているのは長年の歴史で培われた仲卸業者の目利き(品質と値段設定)の技です。豊洲に行ったら資金や人員不足などで仲卸業者は激減すると「築地女将(おかみ)さん会」会長ら業者は批判の声を上げています。豊洲と築地に市場機能がバラバラにされたら、築地の市場機能を確保することも極めて困難になります。
「築地を守る」ことと根本的に矛盾する豊洲移転は再検討すべきです。築地の現地で再整備する案は、都の会議をはじめさまざまに提案されています。豊洲移転は中止し、築地で営業しながら再整備する道を市場の関係者と真剣に協議することこそが求められます。
自民・公明両党は、豊洲早期移転を迫りますが、2010年の都議会での、豊洲を「無害化された安全な状態」にするとの決議の立場を投げ捨てるのか。「食の安全・安心」でも「築地ブランド」でも都民の願いに反する自公に審判を下すことが必要です。
都議会での役割が重要に
日本共産党は、豊洲移転に一貫して反対し現在地の再整備を主張してきました。豊洲の主要建物の地下に土壌汚染対策としての「盛り土」がないことを発見するなど豊洲移転の深刻な実態を追及し、都政を動かしてきました。移転の「基本方針」の具体化はこれからであり、都議会の役割はますます重要になっています。都議選での日本共産党勝利で、「食の安全・安心」を守り、「世界に誇る築地」を未来に引き継ぎましょう。