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2017年6月23日(金)

憲法破壊から9条守るとき

安倍9条改憲発言 都議選の大争点に

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 きょう告示される東京都議選(7月2日投票)は、安倍晋三首相が打ち出した9条改憲発言に対する最初の審判の場になります。安倍首相の側近の下村博文自民党都連会長(党幹事長代行)も、「安倍総裁のもとで(改憲を)推し進めるためには都議選で勝たなければ、憲法改正にも大きく影響する。連動する選挙になる」(5月13日)と指摘。違憲立法「共謀罪」法強行への審判などとともに、9条改憲への審判は都議選の大きな争点です。


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(写真)「憲法変えるな政治を変えろ」とデモする人たち=5月21日、東京都新宿区

自民、年内にも改憲原案 2020年に固執

 安倍首相は5月3日、改憲派の集会に送ったビデオメッセージで「9条の1項、2項をそのまま残し、その上で自衛隊の記述を書き加え」「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願う」と表明。これを受け自民党は、年内にも党としての具体的な改憲原案をまとめる方針です。日本維新の会は、7月から9条改憲で党内論議を開始するとし、公明党も安倍首相の「加憲」論を評価し、自民案が出てくれば議論に応じる姿勢です。

 自民党憲法改正推進本部は21日、党所属の全国会議員が参加できる全体会合を党本部で開き、9条改定の議論を本格化させました。

 同本部では、国会閉会中の夏の間も改憲原案取りまとめの議論を続けるとしており、一部議員は「9月にも案をまとめる」と主張しています。

 同本部所属議員からは、「国民投票になるのだから、できるだけ早く具体的な案を示していく必要がある」との声も出ています。

 安倍首相は、「自公維だけで改憲発議する」との意向を推進本部に伝えたとされ、「2020年施行」の期限ありきで、前のめりの姿勢が党全体で強まっています。

 衆参で改憲発議に必要な3分の2議席を改憲勢力(自公維)が占める現在の議会状況のもと、解散・総選挙の前に改憲発議が強行される可能性が指摘されます。衆院の任期満了は来年2018年の12月であり、最速の改憲発議の照準は、来年の春から夏です。「現在の自衛隊の存在を容認するだけ」というソフトなイメージで一気に発議、国民投票に持ち込む狙いがあります。

「国民の警戒 緩和できる」

 安倍首相は、自衛隊を憲法に書き込んでも「9条1項と2項を残すので、当然今まで受けている制約は残す」(5月9日、参院予算委員会)と述べています。憲法改正推進本部の所属議員の一人は「1、2項を残すことで国民の警戒感を緩和できる」と述べます。

 しかし、自衛隊が憲法に書き込まれれば、9条を中心とする日本国憲法の平和理念は根本的に変質します。

無制限の武力行使に 2項空文化で  

平和の理念が百八十度転換

 日本国憲法は9条1項の戦争放棄と2項の戦力不保持・交戦権否認によって、世界でも類いまれな「武力によらない平和」の理念を掲げてきました。しかし自衛隊が、憲法に明記されれば、「軍事力による平和」へと日本国憲法の根本理念は百八十度転換します。その結果、自衛隊の活動範囲はもちろん、軍事による人権制約の承認など、日本国憲法の基本構造に大きな変化が生じることは避けられません。

 政府は自衛隊を「合憲」としてきましたが、自衛隊の活動への「制約」として、海外での武力行使は行わない、「専守防衛」=守りに徹するなどのルールを設けてきました。自衛隊保有は憲法9条2項の戦力不保持規定に違反するという国民の批判を受け、合憲性を担保するルールとして示されてきました。

 自衛隊が憲法に明記されるとどうなるでしょう。2項が残っていても、憲法上の存在に「格上げ」された自衛隊には「合憲性」担保のための「制約」は不要になります。自衛隊は、従来の「制約」から解放され、無制限の海外での武力行使へ大きく道を開くことになります。

元統合幕僚長“軍隊化”期待

 元自衛隊統合幕僚長の斎藤隆氏は「読売」5月30日付インタビューで「(憲法に自衛隊の)根拠規定が明記され、合憲と整理された後に、軍隊とは何か、自衛隊とどう違うのかなどのかみ合った議論につながっていくのではないか。軍事法廷の要否、戦死者の問題、本格的な集団的自衛権に踏み込むべきか否かなどの論点もある」と述べ、自衛隊の憲法明記により、自衛隊がそのあり方や活動範囲を大きく変化させる可能性に“期待”を示しています。

 昨年の参院選挙で改憲勢力3分の2を確保して以降、いち早く自衛隊明記の9条「加憲」を提起していたのは改憲右翼団体・日本会議で政策委員を務める伊藤哲夫氏でした。同氏が代表を務める日本政策研究センター研究部長の小坂実氏は、機関誌『明日への選択』(2016年11月号)で、「速やかに九条二項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した三項を加えて二項を空文化させるべきである」と、自衛隊明記の狙いが「9条2項の空文化」にあることをあけすけに語っています。

 自衛隊明記は決して現在の自衛隊の追認にとどまるものではなく、自衛隊の活動範囲の拡大、無制限の武力行使に道を開きます。

 都議選で、日本共産党は自公による憲法破壊から、世界に誇る9条を守れと訴え、支持を呼びかけています。


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