2017年6月22日(木)
「加計学園」問題 「萩生田氏の関与」続々
文科省の記録から 首相側近 加計氏とも親密
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、首相側近の萩生田(はぎうだ)光一官房副長官が「官邸は絶対やる」と述べたとされる文書の発覚で、幕引きを図っていた政権が追い詰められました。萩生田氏は指示を否定していますが、この間明らかになった一連の文部科学省内部文書は、同氏が関与し続けてきたことをはっきりと記録しています。
(三浦誠)
本紙が入手した内部文書「10/7萩生田副長官ご発言概要」は、昨年10月7日ごろ、文科省が萩生田氏の発言としてまとめた文書です。当時は加計学園の獣医学部新設が国家戦略特区で認められる3カ月以上前。新設に慎重だった文科省は、内閣府に「平成30年(2018年)4月開学を大前提に」「官邸の最高レベルが言っている」と迫られ、萩生田氏に調整を依頼しました。
文書によると萩生田氏は、「加計学園が誰も文句が言えないような良い提案をできるかどうかだな。構想をブラッシュアップ(磨き上げる)しないといけない」と発言。続けて「私の方で整理しよう」と引き取ったとされています。
昨年10月21日には文科省高等教育局長が萩生田氏と面会。この際の記録が20日に公表された「10/21萩生田副長官ご発言概要」です。これによると萩生田氏は、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24ケ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった」と通告。「文科省だけが怖じ気(おけ)づいている」「官邸は絶対やると言っている」と述べたとしています。調整の結果、最後通牒(つうちょう)を突き付けられたようなかっこうです。
昨年11月1日に内閣府から文科省に送られたメールも、萩生田氏の関与を記述。ここには、国家戦略特区諮問会議の決定文案について、修正の指示が「官邸の萩生田副長官からあったようです」と記されています。この修正で、獣医学部新設ができるのは事実上、愛媛県今治市だけとなりました。
文科省関係者は「新文書の発覚で、萩生田氏の関与が焦点になった」と言います。
萩生田氏は落選中に加計学園系列の千葉科学大学で客員教授を務め、報酬を得ていました。現在も名誉客員教授です。今月16日の参院予算委員会では、安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長について、「腹心の友と確認したこともないし承知していない」と答弁。しかし萩生田氏のブログには、13年5月に、安倍首相や加計理事長と一緒にバーベキューを楽しむ写真が掲載されています。