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2017年6月15日(木)

権力は暴走する

冤罪被害者・免田栄さんが告発

福岡・大牟田

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(写真)スタンディングに参加する(左から)免田栄さんと妻の玉枝さんら=福岡県大牟田市

 「アベ政治を許さない」のプラカードを掲げ、福岡県大牟田市の街頭で週2回、夕方30分間のスタンディングに取り組む市民行動が続いています。毎回20人以上が参加する行動には、冤罪(えんざい)事件の被害者で死刑確定後に再審無罪となった、同市在住の免田栄さん(91)の姿があります。

 安保法制強行に揺れていた2015年夏以来、今年5月に節目の200回を超えた市民行動。雨天時も含め、ほぼ毎回参加してきた免田さんは、市内中心部の国道沿いで「絶対反対 共謀罪」などのプラカードを手にサイレントアピールを続けていました。

 熊本県で生まれ育った免田さんが無関係の強盗殺人容疑で逮捕されたのは、23歳の時でした。1948年末の事件発生の当夜、免田さんには、関与を否定する確かなアリバイがありましたが、警察は事実を捏造(ねつぞう)。睡眠をさせずに拷問を続け、免田さんは警察のつくった筋書き通りに自白を強要されました。

 3年後に死刑判決が確定しますが、周囲の支援もあり裁判のやり直し請求を決意します。家庭の事情などで学校にほとんど通えず、「“あいうえお”も書けなかった」と話す免田さん。裁判長に心情を訴える上申書を書くため、獄中のちり紙に字を書いて猛勉強し、56年の再審開始決定書(西辻決定)として実りました。

 6次にわたる請求で再審が受理された後、無罪判決が確定したのは1983年。34年の獄中生活は、当初から警察が後ろ盾にする国家権力との対峙(たいじ)を、いや応なしに意識させました。逮捕後の取り調べで「われわれは天皇陛下から公職を拝命した警察官だ。百姓が何を言うか」と、どう喝されたからです。

 妻の玉枝さん(80)は、「共謀罪」による冤罪の増加を危惧します。「警察がストーリーをつくって、向こうの思いのままになってしまう。怖い法律だと思います」

 スタンディングに参加するようになったのは、玉枝さんの影響です。安保法制が衆院で強行され、組織に入っていない玉枝さんが、どう怒りを表していいか分からなかった時、友人の呼び掛けを受け、ぜひ参加しようと免田さんを連れ出したのが始まりでした。

 戦時中、免田さんは海軍兵器工場に動員された長崎県大村市で、空襲による工場の壊滅や長崎の原爆投下後のきのこ雲を目にしました。安倍政治を見るにつけ、戦争に突き進んだ天皇制国家の復活を狙う勢力が暴れだそうとしていると危機感を強くしています。「自分の足で動ける間は行動せないかん」。2人で語り合い、今も街頭に足を運んでいます。

 (岡素晴)


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