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2017年6月14日(水)

「築地ブランド」高評価

市場問題PT 都知事に報告書

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 東京都築地市場の豊洲新市場(東京ガス工場跡地)への移転計画を検証している市場問題プロジェクトチーム(PT、小島敏郎座長)は13日、豊洲移転案と築地再整備案を併記した第1次報告書をまとめ、小池百合子知事に手渡しました。

 小島座長から報告書を受け取った小池知事は「私も築地ブランドは大切にしていきたいと思っています」と語りました。

 報告書は、豊洲移転した場合、減価償却を含めれば新市場だけで年92億円、都の市場会計全体では年100億〜150億円の赤字を計上し「市場会計の改善の見込みはない」状態で、60年後には市場会計の累積赤字は1兆円を超えると指摘しています。

 一方、築地市場の改修方法として、(1)営業しながら順次仮移転し改修(2)他所に一度移転した上で改修―の2案を示し、工期を3年半〜15年、総事業費を778億〜1388億円と見積もっています。

 築地市場を改修した場合の市場会計への影響については「60年先では営業損益は若干の赤字、当年度損益は24億〜26億円程度の黒字」と見込んでいます。

 豊洲新市場が目指す市場については「そこには、競りを行い、買受人に商品を届ける仲買の姿はな」く、「もはや卸売市場法に言う卸売市場ではない」としています。

 一方、築地市場については、▽料理店や鮮魚店など買受人との相互作用で育まれた仲卸の「目利きの技」▽都心に近く公共交通機関が整備された抜群の立地▽場外市場と一体となった「食のテーマパーク」―などの特徴を列挙し、「築地ブランド」の経済的価値は高いと記述しています。

 報告書では、豊洲新市場の土壌汚染対策について専門家会議(平田健正座長)の結論を待って、第2次報告書を作成するとしています。


解説

豊洲移転計画「二重の破綻」

 東京都築地市場の豊洲新市場(東京ガス豊洲工場跡地)への移転計画を検証する市場問題プロジェクトチーム(小島敏郎座長)が13日に小池百合子知事に提出した第1次報告書は、豊洲移転案と築地市場の改修(再整備)案を併記していますが、報告書からは豊洲移転計画が(1)食の安全・安心(2)市場会計の持続性―の両面で「二重の破綻」に陥っていることが鮮明に浮かび上がります。

 食の安全・安心の問題で報告書は、土壌も地下水も環境基準以下にするという、都が市場業者や都民に約束した「無害化」がいずれも達成できていないと指摘しています。

 このことについては、小池知事も1日の都議会本会議で陳謝しました。また、報告書は、「無害化」は近未来には実現する見込みがないとしています。

 土壌汚染対策を議論する都の専門家会議は11日、汚染が残ることを前提とする「追加対策」を強引に決定しましたが、土壌汚染の専門家は「実効性がない」と批判し、市場業者からは「絶対安全が必要だ」と怒りが噴出しました。食の安全・安心の点で、豊洲移転の破綻は明らかです。

 市場会計の持続性の問題で報告書は、豊洲新市場を開場した場合、赤字が60年間の累積で1兆円に上り、他の市場の売却か税金投入が避けられなくなると指摘しています。この点でも豊洲移転は、先の見通しがまったく立たない道です。

 一方、報告書は、築地市場の仲卸による目利きと技、銀座などに近い好立地など、「築地ブランド」の価値を高く評価しています。

 築地市場の改修案については、工期は3年半〜15年、費用は約800億〜1388億円と試算し、改修した場合、最終的に市場会計は黒字になるとしています。

 小島座長は報告書の提出後、記者団の取材に対し、これまで「豊洲市場をつくることが自己目的化していたのではないか」と指摘。「長い間築き上げられてきた築地ブランドには経済的価値がある。それを捨てていいのか」と語りました。

 小池知事はこの報告書や、専門家会議と市場のあり方戦略本部の議論を踏まえ、移転の可否を判断するとしていますが、破綻が明瞭となった豊洲移転はきっぱり中止し、築地市場の再整備に踏み出すべきです。


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