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2017年6月10日(土)

主張

成長戦略と「骨太」

大企業には応援、国民には犠牲

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 安倍晋三政権の経済政策の基本となる、日本経済再生本部(未来投資会議)の成長戦略(未来投資戦略)と、経済財政諮問会議の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)が閣議決定されました。安倍政権が政権に復帰してから5回目で2018年度の予算編成などに反映されます。破綻した安倍政権の経済政策「アベノミクス」に固執、「企業は史上最高水準の経常利益」(成長戦略)と、企業の立場から現状を美化し、大企業のための対策を羅列する一方、国民には社会保障を切り縮めるなど、格差と貧困を拡大するものです。

効果が出ない経済再生

 安倍政権は12年末の政権復帰後、「経済再生」や「デフレ脱却」を経済政策の目玉に掲げ、異常な金融緩和や財政出動、「規制緩和」などを中心にした「成長戦略」に取り組んできました。そのためにそれまでの経済閣僚や民間議員を中心にした経済財政諮問会議に加え、全閣僚が参加する日本経済再生本部を発足させ、事実上経済政策の“司令塔”としてきました。

 しかし、政権復帰から4年半たち、異常な金融緩和や大企業減税は「円安」と輸出の拡大などで潤う大企業のもうけを増やしただけで、日本経済の立て直しにも、国民の生活向上にも役立っていません。政権復帰から5年目には17年1〜3月期の国内総生産(GDP)で見ても実質の伸びは前期比わずか0・3%増、名目ではマイナス0・3%で経済再生とは程遠く、家計調査でみた消費支出は実質1年8カ月連続で前年同月を下回っています。消費者物価の上昇率も目標の2%に届きません。

 安倍政権は、大企業のもうけが増えれば消費も投資も増えるといい続けましたが、そのもくろみが狂っているのは明らかです。とりわけ、消費が増えないため、雇用も増えず、新しい産業への投資も活発になりません。安倍政権が「規制緩和」による「成長戦略」を看板にしながら、大企業のもうけはため込みに回るばかりで、投資も起きてこないのはその表れです。

 今年の成長戦略もIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどを活用し、さまざまな社会問題を解決する「ソサエティー5・0」の実現などを列挙していますが、これまでなぜうまくいかなかったのかを抜きにした全く“絵に描いた餅”です。企業からの申し出に応じ「規制」を「一時凍結」するなどというのはまさに大企業いいなりで、企業にもうけ口を提供するものです。

 骨太方針では幼児教育の「無償化」など「人材への投資」を掲げますが、財源は自民党内で浮上した「こども保険」を念頭にしており、高齢化などに伴って増える社会保険負担を毎年大幅に削減する「経済・財政再生計画」を「着実に実行」することを打ち出しています。国民にいっそうの負担増・給付減を押し付けるものです。

財政再建目標は先送り

 見過ごせないのは今度の「骨太の方針」でこれまで掲げてきた20年度までに政策経費を税収で賄う「基礎的財政支出の黒字化」をあいまいにし、「債務残高対GDP比」の引き下げを持ち出したことです。これではどんなに赤字が増えても、見掛け上GDPが増えれば「GDP比」は下がります。大企業本位の経済成長のために、財政のばらまきは許されません。


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