2017年6月10日(土)
加計文書再調査へ
文科相「国民の声多数」
追い込まれた安倍政権
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の愛媛県今治市への獣医学部新設に関し、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」と伝えられたとされる一連の内部文書の存否について、安倍政権は調査のやり直しに追い込まれました。松野博一文科相は9日の記者会見で、前日までの態度から一転し、再調査すると発表。「追加調査の必要性があるとの国民の声が多く寄せられており、状況を総合的に判断した」と述べました。文科省関係者の一人は「国民の声におされた結果」と語ります。
同文書の存在が取り沙汰されて以降、政府は「出所、入手経緯が明らかにされていない文書の存否や内容の確認・調査を行う必要はない」(菅義偉官房長官)と拒否してきました。しかし、真相究明を求める世論が広がり、日本共産党など野党が厳しく追及し、衆参予算委員会での集中審議や前川喜平前文科事務次官の証人喚問を求めてきました。
8日の官房長官会見で、記者側から「再調査しない理由は何か」「匿名の告発を『出所不明』として調査しないのは公益通報者保護制度の精神に反する」などの疑問、批判が相次ぎ、菅氏は答弁不能になっていました。
文科省は、幹部や職員への聞き取りや省内の共有フォルダの確認の結果として、5月19日に「該当する文書の存在は確認できなかった」と発表。その後、前川前次官が記者会見し「文書は存在していた」と証言。現職の文科省職員も省内でメールが共有されていたと証言したと報じられました。
松野氏は、首相から「徹底した調査を速やかに実施するよう」指示されたと説明。調査の対象や方法などは早急に検討し、結果を発表するとしています。