2017年6月9日(金)
きょうの潮流
「核兵器のない世界の扉を開く歴史をみたい。新しい条約をつくる最後の瞬間を見届けたい」。3月に続いて7月に、国連の核兵器禁止条約会議に参加する日本被団協の藤森俊希事務局次長の思いです▼各地の講演などにひっぱりだこの藤森さん。実感するのは、「核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求めるヒバクシャ国際署名運動を始めて1年。禁止条約の草案が発表されるまでは想像できなかったこと」です▼“ノーモアヒバクシャ”と世界に訴え続けた被爆者と、非核兵器国と市民社会の粘り強い運動がつくりだした変化だと。禁止条約ホワイト議長草案に「核兵器使用の被害者(Hibakusha)の苦痛に…留意する」とローマ字で書き込んだことに特別の感慨が▼3月の会議を最後まで見守った藤森さん。「核兵器の非人道的な影響をわれわれに鮮明に思い起こさせてくれた」と感謝の言葉をのべたホワイト議長。サバイバー(生き残った人たち)ではなくヒバクシャと心通わせた、条約づくりにかける心意気を感じました▼「核兵器の不使用を保証できるのは、廃絶以外にありえない」。禁止条約は第一歩と、次を見定めています。「第2会期の会議にも署名をたくさん持ってきてください」と議長からの要請の意味を考えました▼核保有国と日本のような「核の傘」依存国の態度を改めるカギは、ヒバクシャ国際署名です。国連を舞台に、条約賛成諸国と草の根の運動を「車の両輪のように」響き合わせるときです。