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2017年6月7日(水)

「今治市の財政悪化」「学生集まるのか」 内閣府危惧一転

参院選後 加計獣医学部早期開学迫る

市議会に面談記録

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 安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区による特例で獣医学部新設をすすめている問題で、文部科学省に2018年4月の開学を迫ったとされる内閣府幹部が、昨年2月の時点では財政悪化などを理由に愛媛県今治市での新設に危惧を表明していたことが6日、今治市議会に提出された報告書と関係者の話でわかりました。内閣府が態度を一転させるという、異例の展開だったことが明らかになりました。(砂川祐也)


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(写真)今治市議会に提出されていた出張報告書。内閣府側が今治市での獣医学部新設を危惧していることが記録されています。(画像の一部を加工)

(拡大図はこちら)

 報告書は、昨年2月9日に複数の今治市議が獣医学部新設について、内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長らと面談した記録を、市議会に出張報告書として提出したものです。

 報告書には、内閣府側が「新設大学への財政支援による今後の財政悪化や、人口減少により学生が本当に集まるのか危惧されていた」と記述されています。

 本紙の取材に複数の関係者は、この発言が内閣府の藤原氏によるものだと証言し、「加計学園の名前は出していないがお互いの暗黙の了解だった」と述べました。藤原氏は今治市の財政状況や人口減により学生が本当に集まるのかを懸念し、「今治市に獣医学部を設置して本当に大丈夫なのか。よく考えたほうがいい」という趣旨の話をしたといいます。

 文科省の内部文書などによると、藤原氏は昨年9月26日に文科省を呼び出し、「官邸の最高レベルが言っている」と獣医学部早期開学を迫っていました。

 内閣府が今治市での新設に慎重な姿勢を変えた時期について、関係者は、昨年7月の参院選後の8〜9月ころだったと話しています。今治市企画課の担当者も「内閣府が昨年9月以降に18年4月開学に向けて動きだしたと認識した」と認めています。参院選では、自民、公明両党とその補完勢力が議席の3分の2を占めました。

 文科省の前川喜平前事務次官によると、昨年9月上旬には和泉洋人首相補佐官が前川氏に獣医学部新設を早期に進めるよう求めていました。

 内閣府が示した懸念について、関係者は「現在も克服されていないままだ。どうして内閣府の態度が変わったのかわからない」と述べています。

 藤原氏は本紙の取材に文書で回答。今治市側との面談は行ったとして、当時は「今治市が国家戦略特区に指定された直後」であることなどから「慎重な対応をした」と認めました。

 一方、「『財政的に厳しい』『人口減少による』など、加計学園の認可は難しいといった発言をした記憶はない」としています。


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