2017年6月6日(火)
豊洲移転なら赤字1兆円
市場チーム報告案「築地の価値高い」
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東京都築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)への移転計画を検証している市場問題プロジェクトチーム(小島敏郎座長)は5日、都庁で第10回会合を開き、豊洲移転案と築地市場の改修案の両論を併記した第1次報告書案をまとめました。議論を踏まえた修正を行い、来週にも報告書を小池百合子知事に提出します。
報告書案では、豊洲移転した場合、巨大な赤字が発生し、市場会計の赤字は60年で1兆円を超えると試算。赤字を埋め合わせるためには他の市場の売却が必要となるとし、多くの使用上の不具合を使いながら直すために費用がかかり、赤字幅をさらに拡大すると指摘しています。
また、豊洲市場の土壌汚染問題については、都が約束した、盛り土などの対策やガス工場操業由来の汚染の除去・浄化などの「無害化」が達成できていないと指摘しています。
一方、築地市場の現状について、豊富な品ぞろえ、仲卸の「目利きと技」、都心に近い好立地など「築地ブランド」の経済的価値は高いとまとめています。
築地市場の改修(再整備)案は、工期は3年半〜15年、費用は約800億円〜1388億円との4案を提示しています。
築地市場の将来像について、仲卸の「目利きの技」と、料理人、すし屋、魚屋などとが相互作用し、築地場外の店と一体となった「食のテーマパーク」であると描いています。対照的に、豊洲市場は「モノとカネの流れが分離したITと物流センター」になるとしています。
小島座長は会合後、記者団の取材にこたえ、「築地ブランドを継承し、再生させるほうが賢いのではないか」と述べました。
市場PTは、豊洲市場の土壌汚染問題を検討する専門家会議(平田健正座長)の結論が出たのち、第2次報告書をまとめる予定です。