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2017年6月6日(火)

「共謀罪」法案 環境・人権団体も実態監視の危険

政府の「隠れ蓑」答弁追及

参院決算委員会で仁比議員

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写真

(写真)パネルを示して質問する仁比聡平議員=5日、参院決算委

 日本共産党の仁比聡平議員は5日の参院決算委員会で、「共謀罪」で一般人が監視対象となり、公安警察の恣意(しい)的な情報収集と捜査が深刻なプライバシー権の侵害を引き起こすと指摘しました。

 「一般人が対象となることはあり得ない」と繰り返す政府。仁比氏は、環境保護団体や人権保護団体を「隠れ蓑(みの)」に組織犯罪を企てた場合は共謀罪で処罰されると言い始めた政府答弁(別項)を追及。衆院審議の段階では全く述べてこなかったもので、重大問題です。

既に住民運動が

 仁比氏が「隠れ蓑」や「実態」とは何を指すのかと質問。金田勝年法相は「当該団体が標榜(ひょうぼう)している目的や構成員らの主張する目的のみで(組織的犯罪集団かどうか)判断するのではなく、活動実態等を総合的に考慮して判断する」とし、「実態とは団体の活動実態を指す」と答えました。

 「『原発再稼働反対○○住民の会』や『米軍基地強化反対の○○住民の会』などでも、活動実態や組織構造をみて、共謀罪で処罰されうるのではないか」と追及した仁比氏。金田氏は「収集された証拠に基づき個別具体的に判断される」とし、「ご指摘の団体は(組織的犯罪集団として)想定されない」などと述べるだけで否定できませんでした。

 活動実態や組織構造をどうやって見極めるのか―。仁比氏は、岐阜県警大垣署が、風力発電建設をめぐる勉強会を開いただけの住民を監視し、住民の機微なプライバシーを収集して事業者に提供し、住民運動つぶしの相談もしていた大垣事件を取り上げました。

 警察はこうした監視を「通常の業務」と正当化しています。「4人の被害者はなぜ対象にされたのか」と問うと、松本純国家公安委員長は「今後の警察活動に支障を及ぼす恐れがあるから答弁を控える」としました。

 仁比氏は「同じような認識で、住民運動が『隠れ蓑』かどうか情報収集し、共謀罪の嫌疑が出てくれば犯罪捜査に移行していくのではないか」と追及。松本氏は、警察が収集した情報を個別具体の状況に応じて捜査に活用するかどうかについて「一般論としてはありうる」と述べ、「犯罪予防」の名のもとに、“警察のさじ加減ひとつ”で広く行われている公安の情報収集活動が、共謀罪の犯罪捜査につながることを認めました。

 仁比氏は、大垣事件の被害者の「人を信頼して本音を打ち明けられなくなる監視の怖さ、共謀罪の怖さがある」などの声を紹介し、「深い傷を負った被害者に謝罪すべきだ」と要求。首相は「(警察活動は)適切に遂行されなければならない」と警察の活動を改めて正当化しました。

首相発言ただす

 さらに仁比氏は、安倍首相が共謀罪に関する野党の議論について「不安を広げるための議論を延々としている」などとラジオ番組(4日、ニッポン放送)で発言したことを追及。「野党の指摘は、多くの専門家、法曹実務家の共通の厳しい指摘であり、国民の不安の焦点だ」と強調し、「野党の質問権や国会審議を否定する重大発言だ」と撤回を迫りました。首相は「謙虚に答弁していきたい」と弁明しつつ、発言を撤回しませんでした。

 仁比氏は「実際に警察は普通に暮らす市民を監視している。共謀罪で深刻なプライバシー侵害を引き起こすというのが、国連特別報告者の厳しい指摘だ。その指摘に答える情報提供と、国会での徹底審議を強く求める」と主張しました。


問題の金田法相答弁

 対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合には組織的犯罪集団と認められ、その構成員はテロ等準備罪で処罰され得ることになります。(5月29日参院本会議)


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