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2017年6月5日(月)

刑法改正案

池内議員の質問(要旨)

衆院本会議

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 日本共産党の池内さおり議員が2日の衆院本会議で行った刑法改正案についての質問(要旨)は次の通りです。

 性暴力被害を申告できる人はごくわずかで、2014年の内閣府調査で「異性から無理やり性交された経験のある」女性のうち、警察への相談は4%に過ぎません。推計被害者数は、実に年間16万人にのぼりながら、警察に届けられるのは数%、検挙、起訴されて有罪が言い渡される加害者は500人に留まっています。

 先日、検察審査会に申し立てた詩織さんは「レイプの被害にあったことで、性犯罪の被害者を取り巻く法的・社会的状況が、被害者にとってどれほど不利に働くものか痛感した」と述べています。告訴し、逮捕状が出ていたのに、加害者は逮捕もされず、不起訴とされたというのです。大多数の加害者が野放しにされています。

 現行刑法は110年前、家父長制の下で、女性が無能力者とされていた時代に制定されました。強姦罪の保護法益は、「性的秩序の維持」や「貞操」の保護というものでした。この規定は今日まで抜本改正がないまま運用されてきました。

 戦後、個人の尊厳、男女平等を定めた日本国憲法のもと、保護法益は「性的自由」とする解釈に変更されてきましたが、同じ条文で異なる保護法益を実現することは不可能です。現に、最も権威ある教科書とされた『注釈刑法』(1965年版)は、「些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操のごときは、本条によって保護されるに値しない」としていました。こうした考え方が、今日でも司法・捜査当局に大きな影響を与えているのではありませんか。

 今回の改正にあたり、保護法益を「性的自由」にとどめず、「心身の完全性」「人間の尊厳、人格そのものを脅かす性的暴行からの保護」と抜本的に改めるべきです。

 国連は「女性に対する暴力」を定義し、「性に基づく一切の暴力」を根絶する姿勢を明確にしました。さらに、ジェンダーバイアス=性差別に基づく偏見を取り除き、真に被害者の視点に立ち、各国は法改正をこの30年間積み重ねてきたのです。わが国刑法が規範としてきたドイツでも昨年、被害者の明示的な意思に反すれば、「暴行脅迫要件」は不要とする改正を行いました。各国の動向をどう認識していますか。

 性暴力の根絶は、社会の意識変革なしにはあり得ません。ワンストップ支援センターを国連が求める20万人に1カ所設置することは急務です。加害者への適正な処罰、刑務所内外での更生プログラムの制度化、警察、検察、裁判官へのジェンダー教育の抜本的強化を求めます。

 世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ(性別格差)指数で、わが国は144カ国中111位と極めて不名誉な位置にあります。個人の尊厳は、あらゆるセクシュアリティ(性的個性)を生きる人々に保障されなければなりません。今回の改正を第一歩に、更なる改正を求めます。


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