2017年6月4日(日)
きょうの潮流
南極の棚氷が解け始め、異常気象が頻発する。巨大な雹(ひょう)が降り注ぎ、竜巻や津波が大都市を襲う。やがて世界は氷結していく。地球温暖化による氷河期の到来を描いた映画「デイ・アフター・トゥモロー」です▼2004年の公開前に実際に起きた棚氷の崩壊を取り入れていました。いま違う棚氷が崩壊寸前だと騒がれています。研究者は、それがせき止めている氷河が海に流出すれば海面は約10センチも上がると予測します▼世界最大のサンゴ礁、豪グレートバリアリーフでは水温上昇の影響で白化現象が進んでいます。死滅していくサンゴ。専門家らは温室効果ガスの排出量を世界規模で削減しなければ、過去最悪の白化はさらに加速すると警告します▼温暖化がもたらす異常は世界各地で、さまざまに。気温の上昇を食い止める対策は、もはや人類共通の待ったなしの課題です。それに背を向けたのがトランプ米大統領のパリ協定離脱表明です▼米国第一は、ここでも。自国の産業や雇用を守るためと強調しますが、米企業や自治体、世論の多くは協定を支持しています。世界はすでに化石燃料から再生可能エネルギーへ。温室効果ガスを減らしながら成長していく流れは止められず、孤立を深めるだけだと▼気象庁によると、最近国内で観測した二酸化炭素の濃度が過去最高を更新しました。対策に後ろ向きな安倍政権のもとで。デイ・アフター・トゥモローには「漠然とした未来」の意味も。それを明るく染めていくのは今を生きる私たちです。