2017年6月1日(木)
改悪介護保険関連法
倉林議員の反対討論
参院本会議
日本共産党の倉林明子議員が26日の参院本会議で行った改悪介護保険関連法に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
法案は介護サービスの利用者に重い負担増を押しつけるものです。
一昨年に導入した2割負担の影響調査の結果が出る前に3割負担に踏み切るなど論外です。この間の負担増が、サービスの利用抑制を引き起こすことは明らかです。
質疑では、3割負担の対象には高所得とはいえない人が含まれる一方、株式配当で多額の収入を得ている人が税の優遇措置を活用することで負担増とならないことが明らかとなりました。
「負担増は一部の高所得者」などの政府の論拠は破綻しています。要介護者や家族の苦しみに追い打ちをかける、根拠なき3割負担は断じて容認できません。
介護職員の人材不足解消策が全く不十分です。介護現場では職員の離職が後をたたず、事業所では人材確保が困難です。要因は、介護現場の低い職員配置基準を見直さず、介護報酬の評価も効果的にされなかったからで、政府の責任は重大です。
事業所が安心して賃上げに踏み切れるよう、配置基準の見直し、保証のための国庫負担の引き上げなど報酬全体を引き上げる方向への転換が求められます。
財政的インセンティブ(優遇)が自治体による強引な介護サービスの取り上げをさらに拡大する危険は極めて高く、介護保険の本質をゆがめかねません。
自治体の「給付適正化」の取り組みを国が評価し、認定率減や「給付費抑制」で成果をあげる自治体に予算を加算する優遇策を既存の調整交付金で実施すれば、「適正化」が遅れている自治体に対するペナルティーとなることは政府も認めました。
厚労省が先行事例とする自治体では、「自立支援」と「卒業」の名でサービスの打ち切り、基本チェックリストを使った水際作戦、地域ケア会議での申請・更新はねのけの横行が明らかになりました。
要介護度の低下と給付費の抑制を自治体に競わせる財政優遇策の導入が“介護切り”の拡大と過熱化をもたらすことは明らかです。
負担増と給付の切り捨ては介護が必要な人に対するサービス利用を阻害するもので、公的介護制度に対する国民の信頼を土台から突き崩すことになります。
「我が事・丸ごと地域共生社会」の名のもとに、高齢、障害、子どもなどの福祉に対する公的責任が大幅に後退しかねません。
障害児・者と高齢者への支援を同一事業所で行う「共生型サービス」を創設するとしています。施設・人員基準が“低い方”にあわせられ、サービスの質が低下するのではないかという懸念に対し、政府からは具体的な答弁はありません。
この導入が介護保険と障害福祉の統合への“突破口”となるのではないかという多くの危惧についてもまともな説明はありません。
いま求められるのは、社会保障費の自然増削減という方針を転換し、国民の生存権と、社会保障増進に対する国の責務を定めた、憲法25条にもとづき、公的制度を抜本的に拡充することです。