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2017年6月1日(木)

主張

官邸「忖度」政治

補佐官発言が示す首相の責任

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 学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部開設をめぐり、「総理のご意向」などと書かれた文書が作られ、前川喜平・前文部科学事務次官が「本物です」などと証言した問題で、和泉洋人首相補佐官がほぼ同時期、官邸で前川氏に手続きを早くするよう要求していたことが明らかになりました。見過ごせないのはその際、補佐官が「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」などと発言したとされることです。「加計学園」理事長は安倍晋三首相の「腹心の友」です。補佐官の発言は官邸での「忖度(そんたく)」政治そのものです。首相の責任は重大です。

開設手続きの異常さ示す

 「加計学園」の獣医学部開設をめぐる「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと記された文書は、2016年9〜10月、首相肝いりの「国家戦略特区」を所管する内閣府が文科省に働きかけ、獣医師過剰などの懸念を押し切って獣医学部設置を認めさせたときのものです。それに加え、安倍首相に直結する首相補佐官がほぼ同じ時期、当時文科省官僚トップの事務次官に開設の手続きを早くするよう繰り返し求めていたというのは、一連の経過が異常この上ないものだったことを浮き彫りにしています。

 安倍首相は獣医学部新設を「規制緩和」だといいます。しかし開設を認めたのは「加計学園」のみで、「岩盤規制」に穴をあけるという規制緩和は、首相と親密な「加計学園」を優遇しただけです。まさに国政の私物化です。

 和泉補佐官は前川氏に対し「加計学園」の名前は出さなかったと言われますが、補佐官と前川氏が面会したのは「加計学園」の獣医学部設置が大詰めを迎えた時期です。内閣府や補佐官の働きかけの後、11月には首相が議長の「国家戦略特区」の諮問会議で52年ぶりに獣医学部を新設することが「鶴の一声」で決まり、年明けには「加計学園」の獣医学部開設が認められます。補佐官まで乗り出して圧力をかけたというのは、なりふり構わないやり方です。

 和泉補佐官が「総理は言えないから」と言ったとされるのは、「加計学園」の獣医学部開設が、政治をゆがめる、うさん臭いものであることを証明しています。官邸で首相の意を受けて働く補佐官が、安倍首相と「加計学園」理事長が友人であり、「加計学園」が獣医学部を準備していたことを知らないはずがありません。補佐官が首相の意向を「忖度」して文科省に圧力をかけるというのは、「森友学園」への国有地払い下げ問題でも見せつけた異様な「忖度」政治です。首相が補佐官を通じて自らの意向を伝えさせたのが真相ではないのか。内閣府が関わった文書とともに真相の解明が不可欠です。

調査に背を向ける首相

 安倍首相は国会で、過去「加計学園」の「役員」を務め、報酬を受け取っていたことなどは認めました。しかし、獣医学部開設への自らのかかわりは否定し、「圧力が働いたことは一切ない」などと繰り返しています。しかし自ら疑惑を調査しようともしないで、「潔白」は通用しません。

 開設される獣医学部には今治市が37億円相当の用地を提供し、県などが96億円の事業費を負担します。政治がゆがめられた疑惑です。首相の責任が、厳しく問われます。


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