2017年5月31日(水)
首相補佐官「総理は言えないから私が」
「加計」で談話 前川前次官「間違いない事実」
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)をめぐる問題で、文部科学省の前川喜平・前事務次官は30日、談話を発表し、昨年9月に和泉洋人首相補佐官から「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と言われ、国家戦略特区による獣医学部設置の対応を早くするよう求められたことを明らかにしました。和泉氏から前川氏に獣医学部設置を進めるよう要請があった事実は、本紙も文科省関係者の証言をもとに報道(30日付)しています。
談話によると、前川氏は昨年9月上旬に、和泉氏から官邸に呼ばれました。補佐官執務室で和泉氏は、「国家戦略特区における獣医学部設置の特例について、文部科学省の対応を早くしてほしい」と求めたとしています。その際、和泉氏から「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」という趣旨の発言があったといいます。
前川氏は承ったとの旨を和泉氏に伝えたうえ、文科省の専門教育課に面会の趣旨だけを伝達。松野博一文科相には報告しなかったとしています。
昨年10月半ばにも、前川氏は和泉氏から呼ばれて官邸で面談。獣医学部設置の状況について質問され、「引き続き検討中」などと答えたとしています。一連の出来事について、前川氏は談話で、「間違いのない事実」と述べています。
和泉氏が前川氏に要請した昨年9〜10月は、内閣府が「総理のご意向」などとして、文科省に獣医学部の2018年4月開学を前提に進めるよう迫っていた時期でした。前川氏は25日の会見で、「国家戦略特区で議論している対象は、加計学園の獣医学部という共通認識で仕事をしていた」と明言しています。
和泉氏は2013年1月に首相補佐官に就任。内閣官房で地方創生などを担当しています。