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2017年5月30日(火)

「共謀罪」法案に対する仁比議員の質問(要旨)

参院本会議

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 日本共産党の仁比聡平議員は参院本会議で、「共謀罪」法案に対する質問を行いました。要旨を紹介します。


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(写真)安倍晋三首相らに質問する仁比聡平議員(手前)=29日、参院本会議

 格差が拡大する中で、政治や行政を私物化し、これが発覚すると権力ずくで隠蔽(いんぺい)する。森友学園問題に続いて、総理の腹心の友が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題について、前川文科省前事務次官が、同学部新設を可能にした規制緩和が「総理の意向」という文書は存在し、公平公正であるべき行政がゆがめられたという重大な証言をしました。

 総理自身の進退に関わる重大問題です。文科省に再調査を指示すべきです。予算委員会の集中審議と前次官の証人喚問に直ちに応じ、自ら真相を明らかにするべきです。それに背を向け、権力の恣意(しい)的乱用が懸念される「共謀罪」法案を推し進めるなど、もってのほかではありませんか。

 「共謀罪」法案は、質疑をすればするほど国民の懸念がひろがる。それはこの法案が、どんな行為を処罰するのかまったく不明確で、人の生命や身体、財産などの法益を侵害する危険がない合意や実行準備行為を、限りなく人の内心に踏み込んで処罰するものだからではありませんか。

 内心の捜査に歯止めがかけられないことは、治安維持法と戦前のわが国の痛苦の教訓です。法案は憲法に反し、近代刑法の大原則を根底から覆すものではありませんか。

 「共謀罪」法案を強行する政府与党に対して、国際社会からも厳しい忠告が寄せられています。

 総理が法案が不可欠としてきたTOC条約締結について、条約の国連立法ガイドを起草したニコス・パッサス教授は「現在の法体系で対応できないものは見当たらない」とし、「条約を批准することは可能」「国内法の整備は日本国民の意向を反映させるべきだ」と忠告しています。この指摘をどう受け止めますか。

 もう一つは、国連プライバシー権に関する特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ教授が、政府に対し、TOC条約批准という理由は「プライバシーの権利に対する十分な保護もないこの法案を成立することを何ら正当化するものではありません」と厳しく批判していることです。政府が「国連の立場を反映するものではない」と反発するのは、独立した立場で人権理事会への報告を行う特別報告者の権限を理解しない、驚くべき姿です。外務大臣、特別報告者の任務と権限について、明確に説明頂きたい。

 国連条約のために必要不可欠といいながら、国連特別報告者からプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると厳しく批判されたら、これを敵視する。国際社会に通用するはずもありません。

 政府は「実行準備行為が行われて初めて処罰される」といいますが、いくら実行準備行為が必要といってみても、結局、犯罪とは無縁な市民の日常生活と区別できないのではありませんか。

 法務大臣は「一般人とは組織的犯罪集団と関わりない人」と繰り返します。捜査権力をふるう国家の側が、「警察に捜査対象と目されれば、誰もが一般人ではなくなる」という態度こそ、強権姿勢に他なりません。

 わが国の警察は、戦後も、犯罪の未然防止や任意捜査の名で、犯罪とは無縁の市民の人権、プライバシーを深く侵害する公安警察活動、司法警察活動を行い続けてきました。

 秘密裏に、可能な限りの技術を用いて国民のプライバシーを侵害してきた警察の活動を、なお正当化されるのでしょうか。

 「共謀罪」を新設し、人びとの話し合いを処罰対象とすれば、警察権限を拡大し、情報通信技術がいっそう高度化するなか、監視社会への危険を飛躍的に強めます。特定秘密保護法、安保法制=戦争法、憲法9条改憲と一体に、戦争する国づくりを推し進めることにほかなりません。日本共産党は国民と力を合わせて廃案を求めます。


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