2017年5月30日(火)
首相補佐官、前川前次官に要求 “獣医学部 手続き早く”
加計学園問題 昨年秋 官邸に呼びつけ
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が獣医学部を新設する問題で29日、昨年秋ごろ文部科学省の前川喜平事務次官(当時)が、首相補佐官に呼ばれて国家戦略特区で獣医学部新設の手続きを進めるよう求められたと文科省職員に話していたことが、同省関係者の証言で分かりました。文科省が獣医学部の新設に難色を示していた時期に、内閣府だけでなく、首相周辺から働きかけがあった疑いが浮かび上がりました。
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関係者によると、前川氏は昨年秋ごろ、内閣官房で地方創生を担当する和泉洋人首相補佐官から官邸に呼ばれました。この席で、和泉氏は前川氏に、国家戦略特区で獣医学部を新設するため文科省が早く手続きを進めるよう要求したといいます。
これに対して、前川氏は「最終的には大臣が判断されること」として、明言を避けました。この後、前川氏は、和泉氏とのやりとりを文科省の担当課に伝達しました。
当時、文科省は告示で獣医学部の新設を禁じていました。新設には、農林水産省が獣医師の数が足りないと判断することが必要だと文科省は主張。農水省は判断を回避していました。
昨年秋ごろには、内閣府も文科省の担当課に、獣医学部の18年4月開学は「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと迫っていました。これらの言葉が記された文科省の内部文書を、前川氏は「本物」と認めています。
内閣府と文科省とのやりとりについて、前川氏は会見(25日)で、「国家戦略特区で議論している対象は加計学園の獣医学部だという共通認識のもとで仕事をしていた」と証言しています。
和泉氏は国土交通省出身で、第2次安倍政権の2013年1月に首相補佐官に就任しました。和泉氏は本紙の取材に「ご指摘の前川前事務次官との面会については、記録が残っておらず、確認できません」と文書で回答しました。