2017年5月29日(月)
憲法、築地、暮らし――都民の願いを日本共産党に
志位委員長の訴え
日本共産党の志位和夫委員長が27〜28日の東京都議選の応援で、北多摩3区、練馬、足立、目黒で行った演説の要旨を紹介します。
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みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫です(拍手)。都議会議員選挙が目前に迫ってまいりました。日本共産党をどうか躍進させていただきたいと、今日は応援にうかがいました。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
加計学園――首相による国政の私物化という重大疑惑の徹底究明を
まず、加計学園の問題についてお話ししたいと思います。
安倍首相の「腹心の友」という人が理事長を務めている加計学園が、愛媛県の今治市に獣医学部を新設する計画が、大問題になっています。この計画には、破格の優遇がされており、37億円の公有地をただで提供され、くわえて96億円もの補助金が出る。あわせて133億円の税金が使われる。あの森友学園の問題よりもケタが二つ上なんです。この計画に、安倍首相の働きかけがあったのではないかという疑惑です。
内閣府が文科省に対して、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と要求した文書が明るみに出されました。この事態をうけて、前川喜平・前文部科学事務次官が「文書は本物です」と認め、「行政がゆがめられた」ことも認めました。前川氏は、会見で、「赤信号を青ということを言わされた」「あったことをなかったことにすることはできない」と語りました。あの会見は、だれが見ても、真実を語ったものではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
ところが、菅官房長官は、この期に及んで、「(文書は)出所不明」と言い続けています。自民党は、前川氏の証人喚問を求める野党に対して「政治の本質に関係ない」と拒否しています。しかし、関係ないどころか、問われているのは、首相による国政の私物化という重大疑惑ではないですか(「そうだ」の声、拍手)。やましくないというのだったら、野党の証人喚問の要求にただちに応えるべきだということを強く求めたいと思います(拍手)。いかに国会で数の力をもっていたとしても、「あったことをなかったこと」にすることはできません(拍手)。徹底的な真相究明を要求しようではありませんか。(大きな拍手)
第一の大争点――「共謀罪」と憲法9条改定など歯止めない憲法破壊を許していいのか
みなさん。この都議会議員選挙の政党対決の構図はどうなっているでしょうか。マスコミはよく「小池知事対自民党」といいますが、これは違いますよ。だいたい小池知事は自民党員ではありませんか。「自民・公明対日本共産党」、これが本当の対決構図ではないでしょうか。(拍手)
選挙戦の三つの大争点が浮かび上がってまいりました。
第一の大争点は、「共謀罪」と憲法9条改定など歯止めのない憲法破壊を許していいのかどうかであります。
「共謀罪」法案を必ず廃案に――法案はボロボロ、国連の批判には問答無用
「共謀罪」法案は、23日、自民・公明・維新が衆議院で採決を強行し、たたかいの舞台が参議院に移りました。しかし、衆議院の審議をみますと、金田さんという法務大臣は、一つ答弁すると一つ問題が解決されるのではないんです。一つ答弁すると一つ問題が増えていくんです(笑い)。もう法案はボロボロです。憲法第19条で不可侵とされている国民の内心を処罰する。一般の方々を対象にする。「テロ対策」ではない。法案の根幹の部分がボロボロじゃないですか。
それにくわえて、大きな問題がでてまいりました。国連の人権問題の特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が、安倍首相あてに、この法案は「プライバシーと表現の自由への過度の制限になる」との強い懸念と質問の書簡を送ったんです。これに対して、日本政府は質問に一切答えないまま、「強く抗議する」と言い放った。国会だけでなく、国連に対しても「答弁拒否」をやっている。この政権はもはや世界の恥ですね。だいたい、政府は、今度の法案を、「国連の条約(国際組織犯罪防止条約)の批准のため」といって持ち出したわけでしょう。ところがその国連から懸念と質問が寄せられているのに問答無用の態度をとるというのは、あまりにもご都合主義というほかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
たたかいはこれからです。参議院で必ず廃案にするために頑張りますので、どうか批判の声を国会に集中してください(拍手)。そして、こんなとんでもない法案を持ち出した自民党、公明党には、今度の都議選で厳しい「ノー」の審判を下してください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
首相の9条改憲発言――「憲法尊重擁護義務」に反する憲法違反の発言
あわせて大問題が持ち上がりました。憲法9条の改定です。5月3日、よりにもよって憲法記念日に、安倍首相は、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行う、2020年に施行すると宣言しました。
まず、内閣総理大臣が、こんなあからさまな憲法改定の号令をかけることが許されるでしょうか。こんなことをやった総理大臣は過去にありません。安倍首相は、「あれは自民党総裁としての発言です」「総理と総裁は別です」といっています。夫人の安倍昭恵さんは「公人」でなく「私人」ですと言って使い分ける。ご本人は「総理」でなく「総裁」ですと言って使い分ける。夫婦そろって使い分けをやっている(笑い)。しかし、こんな使い分けは、絶対に成り立つものではありません。(拍手)
安倍晋三さんは何よりも内閣総理大臣です。24時間、内閣総理大臣です。内閣総理大臣が憲法9条を変えることを時期まで決めて宣言するというのは、「憲法を尊重し擁護する義務」を公務員に課した憲法99条に違反する憲法違反の発言であることは明らかであります。(「そうだ」の声、拍手)
9条2項の死文化、無制限の海外での武力行使に道を開く
内容はきわめて重大です。安倍首相は「9条1項、2項を残し、自衛隊の記述を書き加える」といっています。これを聞いて「9条1項、2項が残るのだったら大丈夫か」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうはまいりません。これは、単に存在する自衛隊を憲法上追認するというだけにはとどまりません。結論からいいますと、文字通り、無制限の海外での武力行使に道を開くことになる。これがいまやられようとしていることの本質です。
戦後、自民党政府は、憲法違反の自衛隊をつくり、それを合憲だといってきました。しかし、憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあります。この9条2項があるために、政府は、大きな制約を受けざるをえませんでした。政府は、自衛隊を何と説明したかと言いますと、「自衛隊は、我が国の自衛のための必要最小限度の実力組織であって、戦力ではない」。これはゴマカシですけれども、ともかく「戦力ではない」ことを建前とせざるをえなかった。そして、そういう建前を立ててしまったために、政府は、「三つのことができません」と言ってきたんです。一つは、海外派兵。二つ目は、集団的自衛権の行使。三つ目は、武力行使を目的にした国連軍への参加です。この三つは「できない」と言ってきた。
それに大穴を開けたのが、一昨年の安保法制=戦争法です。しかし、あのときも安倍首相は「イラク戦争やアフガニスタン戦争のような場合に、武力行使を目的として戦闘に参加することは決してない」と繰り返しました。「集団的自衛権の行使は、日本の存立が危機に陥るような特別の場合であって、あくまで限定的です」と弁明しました。つまり9条2項の力は偉大でありまして、安保法制=戦争法をも縛っているのです。
そこに、「3項」を設けて自衛隊を明記したらどうなるでしょう。たとえ2項を残したとしてもそれが死んでしまいます。死文化に道を開き、無制限の海外での武力行使に道を開く。なぜなら「3項」という独立した項目で自衛隊の存在意義が書かれれば、それが独り歩きし、自衛隊の役割がどんどん広がることは避けられないからです。
だいたい、いまの憲法には、どこを読んでも自衛隊の「じ」の字も書いてないでしょう。そればかりか戦力を持ってはならないと書いてある。この憲法のもとであんな巨大な軍隊をつくり、海外派兵の仕掛けまでつくったのが自民党ではないですか。その自民党に「自衛隊」と書いた憲法を渡したら、歯止めない海外での武力行使に道を開くことになることは火を見るよりも明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
シナリオを書いたのは「日本会議」、狙いは「2項の空文化」とあけすけに
それでは、このとんでもない計画のシナリオを書いたのはだれでしょう。右翼改憲団体で「日本会議」という団体があります。この「日本会議」の政策委員で安倍首相のブレーンといわれる伊藤哲夫・日本政策研究センター代表が、昨年8月、こういう提案をしていました。「憲法第九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定を入れること」。この提案に応えたのが、今度の安倍発言なのです。
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そして、「日本会議」はその狙いもあけすけに語っています。同センターの小坂実研究部長は、昨年10月、「『戦力』の保持を禁じ、自衛隊の能力を不当に縛っている9条2項は、今や国家国民の生存を妨げる障害物。速やかに9条2項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した第3項を加えて2項を空文化させるべきである」とのべています。シナリオを書いたのは「日本会議」、狙いは9条2項の空文化=死文化にある。
憲法9条の一番の命は、2項にあります。1項の戦争放棄は国連憲章にも書いてある世界のスタンダードですが、2項の戦力不保持は日本国憲法にしかない「世界の宝」ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。それを死文化したら9条が9条でなくなってしまう。絶対に許すわけにはいきません。(大きな拍手)
安倍自公政権による憲法破壊から、世界に誇る9条を守れ――この声を日本共産党に
私は、いま安倍首相がやっていることは、一言でいって、国家の私物化への暴走だと思います。それは「森友」や「加計」の問題だけではありません。憲法をも私物化しようとしている。憲法をも自分の野望のために勝手に変えようとしている。こんな恐ろしい暴走は、絶対に止めなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)
都議選は、その最初の審判の場になります。私は心から訴えたい。安倍自公政権による憲法破壊から、世界に誇る9条を守れ――この声を、どうか日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
第二の大争点――築地市場の豊洲新市場への移転問題をどうするか
第二の大争点は、築地市場の豊洲新市場への移転問題をどうするかであります。今度の都議選で、自民党と公明党は「豊洲移転推進」を主張していますが、こういう勢力に都政をまかせていいのか。
都民・国民の「食の安全」とともに、「日本の食文化」を守る意味が
私は、昨日(26日)、築地市場を訪問してまいりました。1時間半ほどかけて市場の中をごあいさつしながら歩きましたが、とても温かい歓迎を受けました(拍手)。案内してくれた全労連・東京中央市場労働組合の中澤誠委員長は「今、市場の中を歩ける政党は(豊洲移転に一貫して反対する)共産党ぐらいです」(笑い、拍手)と言っていました。
市場の業者のみなさんとの懇談で、とても印象的なエピソードを聞きました。外国の政府関係者に築地市場を案内したとき、ある人がこう言ったというのです。「一番驚いたのは銀座に近い都心の一等地に市場があるということです。それは、日本人がいかに食文化を尊重しているかを示すものです」。ですから、この問題は、都民・国民の「食の安全」がかかっているだけではありません。「日本の食文化」を守る意味ももっているということを、私は訴えたいと思うのであります。(大きな拍手)
都民への二つの約束は果たされていなかった――「地下も地上も危険」が明らかに
この問題を考えるさいに、中央卸売市場を所管する農水省が、土壌汚染と市場の関係についてどう言っているかは、たいへん重要です。「汚染土壌が下にある場合には、たとえ盛り土などで遮断したとしても、生鮮食料品の卸売市場をつくることはとんでもない」。これが政府・農水省の立場なのです。
なぜそういうかといいますと、汚染土壌がある場合には、たとえ遮断したとしても、表面に出てくるからです。たとえば大地震があったらどうなるか。東日本大震災のとき、豊洲市場予定地は、液状化し、土砂が噴き上がりました。そうしたときに、一般の建物だったらまだしも、生鮮食料品の卸売市場がつくられていたら大被害をこうむる。だから汚染土壌の上につくることは「とんでもない」。これが政府・農水省の立場です。
だからこそ東京都は2008年の環境調査で、豊洲市場予定地から基準値の4万3千倍のベンゼン、シアン、ヒ素、水銀などが見つかったさいに、都民のみなさんに二つの約束をしました。第一の約束は、「汚染土壌はすべて除去・浄化します」。第二の約束は、「そのうえで盛り土を行い遮断します」。この約束が果たされたか。
第一の約束――「汚染土壌が除去・浄化」されたか。今年1月、地下水から基準値の79倍のベンゼンが出ました。3月には、100倍のベンゼンが出た。それを受けて、都知事が設置した市場問題プロジェクトチームは、「汚染土壌は除去、浄化できなかった」と初めてはっきり認めました。
だいたい、豊洲市場予定地は、東京ガス豊洲工場の跡地です。約30年間にわたって都市ガスを製造していました。都市ガスをどうやってつくるか。石炭を高温で蒸し焼きにしてガスを取り出す。同時に、大量のコールタールが滴り落ちてきます。その中には多量のベンゼンが入っています。24時間、365日、約30年間にわたって都市ガスをつくり続けてきた。コールタールを直接地面に流しておがくずと混ぜる作業までやっていた。ですからケタ違いに汚染が深刻なのです。こんなひどい汚染を取り除くことは不可能だと考えて、日本共産党は最初から反対してきましたが、警告の通りとなったのであります。(拍手)
第二の約束――「盛り土を行い遮断する」はどうなったでしょう。豊洲市場の主要建物の地下は盛り土がなく、地下空間になっていました。地下空間になっているとどういうことになるでしょう。3月に都の専門家会議が資料を出しました。これを見ますと、「将来、想定されるリスク」として、「地下水から気化した水銀、ベンゼン、シアンを含むガスの地下ピット内への侵入が発生する」「1階床面のコンクリートにひび割れ等が生じて地下ピット内から1階部分への空気の侵入・拡散が発生することにより1階部分でリスクが生じる可能性がある」と、書いています。豊洲市場を推進してきた専門家会議も、地上の危険を指摘せざるをえないのです。地下も危険だし、地上も危険――これが誰も否定できない到達点だということを強調したいと思うのであります。(拍手)
5月18日の都の専門家会議――豊洲移転の破たんはいよいよ明瞭に
汚染土壌の上に市場の施設をつくってしまったという根本矛盾がいよいよ噴き出したのが、5月18日に築地で行われた都の専門家会議の大破たんです。まず、4月の数字が発表されました。ベンゼンは基準値の100倍。シアンとヒ素も出た。数値は悪化しました。参加した市場業者のみなさんの追及を受けて、平田座長は、「(都民への)約束は達成できていません」「無害化は難しい」「環境基準以下にすることをめざしていない」と、半ば居直り的に認めました。「無害化は難しい」というのはどういう意味かというと、いまなお汚染土壌が残っているし、未来にわたって残り続けるということです。市場業者のみなさんの怒りが沸騰して、会議が中断になりました。豊洲移転の破たんは、いよいよ明瞭ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
私が、昨日、築地市場で、「どのぐらいの業者さんが移転に反対していますか」とお一人お一人にお話を伺いますと、どなたからも、「市場業者の7割、8割、圧倒的多数は移転に反対しています。築地で仕事を続けたいと言っています」との答えが返ってきました。築地市場を支えているのは、そこで働く仲卸業者のみなさん、おかみさんではありませんか。その圧倒的多数が、移転は反対、行きたくない、ここで仕事をしたいと言っている。そんな移転がやれるわけがないではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。豊洲移転はきっぱり中止し、都民、専門家、市場関係者の英知を集め、築地市場再整備の道を踏み出すべきだということを、私は訴えたいと思います。(大きな拍手)
「世界の築地」をつぶし、豊洲移転をごり押しする自民、公明に退場の審判を
この問題での自民、公明の罪は重いですよ。2001年以来、石原慎太郎都知事と一体に無謀な豊洲移転を推進し、ここまで破綻が明瞭になってもひとかけらの反省もなく、なお推進にしがみついています。「築地も汚染」と口汚い攻撃をやっています。これには築地市場の業者のみなさんは、カンカンに怒っていました。「築地でも有害物質が出た」などという報道がされましたが、ごく局所的で低濃度のもので、豊洲市場予定地の汚染はまったくレベルが違います。
だいたい築地市場を開場して80年余、ただの一度でも食品汚染の事件を起こしたことがありますか。一度もないじゃないですか(「そうだ」の声、拍手)。80年余の歴史によって安全性が証明され、「築地ブランド」として世界中に信頼されているのが築地市場ではないですか(「そうだ」の声、大きな拍手)。「世界の築地」をつぶし、豊洲市場への移転をごり押しする自民、公明には、退場の審判を下そうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
「都民ファーストの会」への一票は、「行方不明」の一票に
「都民ファーストの会」はどうでしょう。「都民ファーストの会」は、5月23日に公約を発表しました。しかし、そこには豊洲問題をどうするのかが書いていない。ダンマリなのです。「知事の判断を尊重する」ということしか言わない。これでは、「都民ファースト」ではなくて、「知事ファースト」になってしまうじゃないですか。(拍手)
これは、政党としてあまりに無責任です。小池知事はその立場上、判断に段取りが必要ということがあるかもしれません。しかし、政党はそうはいかないんです。政党として都議選に名乗りをあげた以上は、その最大争点の豊洲問題でダンマリは許されないんです。それでは、都民のみなさんに「白紙委任状をください」ということになりますね。私は、はっきり言わなければなりません。「都民ファーストの会」への一票は、「行方不明」の一票になってしまいます。こういう政党に、大事な都政をまかせるわけにはいきません。(拍手)
豊洲移転中止、世界に誇る築地市場を未来に引き継ごう――この願いを日本共産党へ
豊洲新市場への移転中止、世界に誇る築地市場を未来に引き継ごう――この願いは日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)
第三の大争点――都民の福祉と暮らしをどうやって良くしていくか
第三の大争点は、都民の福祉と暮らしをどうやって良くしていくかであります。どうして豊洲移転などという無謀なことが起こったか。私たちが「逆立ち都政」と呼んでいる都政のゆがみと深くかかわっています。
「巨大開発が福祉と暮らしを押しつぶす」――「逆立ち都政」のゆがみが極端に
石原・猪瀬・舛添――3代の都知事と自公都政のもとで、都民のみなさんの税金の使い方がどう変わったでしょうか。1998年度と2015年度の比較を紹介します。東京都の民生費(福祉費)の割合は、47都道府県で、3位から32位まで落ちてしまいました。老人福祉費の割合は、2位から42位に転落してしまいました。石原知事の号令――「何がぜいたくかと言えばまず福祉」のもとで削りに削ってきた結果です。土木費の割合はどうかといいますと、40位から21位に「躍進」しました。「巨大開発が福祉と暮らしを押しつぶす」という「逆立ち都政」のゆがみが極端になりました。このゆがみにメスを入れてこそ、福祉と暮らしを良くする道が開かれるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
それでは小池都政はどうでしょう。一連の問題で前向きの変化が生まれています。同時に、「逆立ち都政」のゆがみをひきずった問題点もかなりあります。そういうもとで、日本共産党は、「良いことに賛成、悪いことに反対」――「是々非々」の立場で都政を前に動かすために頑張ってまいりました。
日本共産党の「重点公約」の二つの裏付け(1)――財源の裏付け
先日、日本共産党は、都民の切実で緊急の願いをまとめた「重点公約」を発表いたしました。そのいくつかを紹介しますと、「高すぎる国保料を1人1万円引き下げます」。「認可保育園の9万人分増設をめざし、公立保育園の整備費補助を行います」。「シルバーパスは、1000円パスの対象を広げ、3000円の軽減パスを発行し、多摩都市モノレールなどでも使えるようにします」。「待機者ゼロをめざし、特別養護老人ホームを2万人分増やします」。いかがでしょう。(大きな拍手)
私がここで訴えたいのは、日本共産党の公約には、二つの裏付けがあるということです。
第一は、財源の裏付けであります。東京外環道路など巨大開発にメスを入れる。これが共産党の財源政策です。都の予算というのはたいへん巨大です。スウェーデンに匹敵する予算を持っています。一般会計予算だけで約7兆円。その4%をあてれば、国保についても、保育園についても、シルバーパスについても、特養ホームについても、緊急の願いはすべて実現します。「逆立ち都政」をただすという立場に立てば、ちゃんと財源は出てくるし、それができるのは日本共産党だということを、私は訴えたいと思います。(大きな拍手)
東京外環道路延伸を要求する自民・公明、ここでは小池知事も同じ立場
財源という点では、自民党と公明党には、まったく展望がないのです。「逆立ち」をもっとひどくするとんでもない暴走をやっているからです。いま東京外環道路は、関越高速から東名高速までの16キロを造っています。16キロで1兆6千億円。1メートル1億円。ところがこれでもまだ足らないと言っているのが自民党と公明党です。これをさらに延ばして、東名高速から湾岸道路までつなげろと要求しているのです。これを延ばしますとさらに20キロ、2兆円はかかるといわれています。あわせて4兆円。こんなところにどんどん税金を注いだら、都民の福祉や暮らしにまわすお金はなくなってしまいますよ。自民党と公明党は、救いがたい「巨大開発病」にかかっている、「ゼネコン病」にかかっている、これはもうお引き取り願うしかないと思います。(大きな拍手)
それから、小池知事も、この問題では、自公と同じ立場なのです。都議会で自民党に問われて、小池知事は「東名高速から湾岸道路までの延伸も進める」と答弁し、自民党は大喜びです。こういう立場を続けていて、どうして「東京大改革」と言えるでしょうか(拍手)。小池知事のこういう立場を変えるためにも、日本共産党が躍進することが必要ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
日本共産党の「重点公約」の二つの裏付け(2)――実績の裏付け
第二の裏付けは、実績の裏付けです。私は、4年前の都議選で、日本共産党の都議団は「調査・提案・論戦、3拍子そろった強力な議員団」だと訴えました。17議席に躍進させていただきまして、3拍子がすべてパワーアップいたしまして、この4年間、都政を動かすすばらしい仕事をやってきました。
たとえば豊洲市場の地下空間の発見です。共産党都議団が、徹底調査の過程で発見した。もしあの発見がなかったら、豊洲市場はすでに開場されていたかもしれません。開場したあとでベンゼンが出たら大混乱に陥っていたでしょう。東京都政を大混乱の危機から救ったのが共産党都議団の発見だったということを言いたいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)
それから躍進して議案提案権を獲得したことで、これを活用して4年間で16本の条例案を提案しました。たとえば認可保育園の増設のために、用地費補助の条例案を提出し、都有地活用の具体的提案を繰り返し行いました。この条例案は否決されましたが、一部補助が実現し、都有地活用がすすみ、この4年間で認可保育園の定員を5万3000人分増やすことができました。私は、4年前に、3万人増を公約で訴えたことを記憶しておりますが、都民のみなさんと共産党都議団の共同の力で、目標を超過達成できたことはうれしいことであります(拍手)。さらに9万人分以上の増設を実現しましょう。
それからここで紹介したいのは、シルバーパス負担軽減の条例案についてです。共産党都議団は、この条例案を、2006年、08年、09年と提出しましたが、自公によって否決されました。ところが今年の3月議会に出した条例案は、初めて「継続審査」となったのです(拍手)。「継続審査」というのは、あと一歩ということです。今度の選挙で、日本共産党を伸ばしていただければ、実現への道がぐーんと開かれるでしょう。どうかみんなの力でシルバーパスの負担軽減を実現しようではありませんか。(拍手)
日本共産党の「重点公約」には、財源と実績――二つのたしかな裏付けがあります。「逆立ち都政」をただし、都民の福祉と暮らし最優先の都政をつくろう――この願いをどうか日本共産党にたくしてください。(「いいぞ」の声、大きな拍手)
知事提案への賛成率99・98%――公明党は人の悪口を言う前に、自らの反省を
最後に、私は、この場でどうしても言っておきたいことがあります。公明党があちこちで共産党の悪口を言って歩いているそうです。しかし、人の悪口を言う前に、自分が何をしてきたか。ここが問題です。
石原・猪瀬・舛添――3代の都知事の提案に、何でも賛成してきたのが公明党ではないのか。私が調べてみたところ、3代の都知事の16年間、知事提出の議案は5020件あります。そのうち5019件に、公明党は賛成しています。何と賛成率99・98%。3代の都知事と二人三脚で、豊洲問題をはじめ「都政の闇」をつくり、巨大開発の浪費と、冷酷な福祉切り捨てを進めてきた張本人が公明党ではないですか。(大きな拍手)
だいたい議会というのは、与党であっても知事のやることをチェックすることが仕事ではないですか。知事の提案に何でも賛成という政党なら、議会に必要ありません(拍手)。私は、公明党に、人の悪口を言う前に、自分の反省をするのが先ではないかと言いたいと思います(歓声、大きな拍手)。こういう勢力に負けるわけにはまいりません。(大きな拍手)
残る1カ月あまりのたたかいです。大激戦を競り勝ち、日本共産党の「宝の議席」――17議席を守り抜き、さらに増やしていただくことを心からお願いして、私の訴えといたします。(歓声、大きな拍手)