2017年5月29日(月)
主張
「核兵器禁止」草案
世界の世論・運動で条約実現を
6月の核兵器禁止条約の国連会議・第2会期を前に、条約の草案がエレン・ホワイト議長によって発表されました。多くの被爆者や反核平和運動団体、被爆地・広島と長崎の市長が、こぞって歓迎の声を上げています。日本共産党は草案を「強い感動をもって受け止めるとともに、心から歓迎」(志位和夫委員長の声明)し、禁止条約の実現と核兵器の全面廃絶へ向け、引き続き力を尽くす決意です。
被爆者の切望にこたえた
草案は前文で核兵器の非人道性について強調するとともに、「ヒバクシャ」や「核実験被害者」らの「苦難に留意」すると述べ、「多数の非政府組織およびヒバクシャの取り組み」についても高く評価しています。これは、被爆者の訴え、反核平和運動の願いを正面から受け止めたものといえます。
第1条は、核兵器の「開発、生産、製造、取得、所有、貯蔵、移転、受領、使用、核爆発実験」などを禁止し、核兵器を違法化して「悪の烙印(らくいん)」を押すものとなっています。「自国の核兵器を廃棄した国のための措置」(第4条)を明記し、核保有国に参加の道を開いていることも重要です。
第6条が、核兵器や核実験の被害者への支援を義務づけていることは、長年にわたって被爆者援護を求めてきた被爆者の切望にこたえるものです。
核兵器を法的に禁止するとともに、核兵器全面廃絶につながる大きな意義をもつ草案です。
草案の土台となった3月の国連会議・第1会期には、市民社会も正式な構成員として参加しました。志位委員長を団長とした日本共産党代表団も、被爆国民の声を届けるとともに、会議の成功に貢献しました。最初は核保有国の参加が得られなくとも、賛成する諸国によって核兵器禁止条約―核兵器を禁止する法的拘束力のある協定を早期に締結することを要請したことは、政府代表からも共感が寄せられました。この内容は草案の方向と合致するものです。草案はまさに、市民社会と諸国政府の共同の成果といえます。草案は第2会期(6月15日〜7月7日)で審議、採択される予定で、いっそうの充実、発展が期待されます。
しかし、米英仏ロ中の核保有国やその「核の傘」に依存する国々は、禁止条約を「安全保障にとって有害だ」などと批判を強め、妨害しようとしています。
安倍晋三政権が、核保有国に追従し、被爆国にあるまじき態度をとっていることに、内外で失望と批判が広がっています。この姿勢を根本的にあらため、条約への参加を真剣に検討すべきです。
逆流を打ち破るために
核保有国をはじめとする逆流を打ち破る決定的な力は、世界の世論と運動の高まりです。
6月17日にはニューヨークで、大規模な核兵器禁止女性行進がおこなわれます。日本からも被爆者、女性団体をはじめ各地の代表が参加する予定です。あわせて、国際的な同時行動が呼びかけられています。日本国内でも、全国各地で多彩な行動が計画されています。
「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)を軸に、核保有国などを追いつめる圧倒的な国際世論を築き上げることが、いまこそ求められます。