2017年5月23日(火)
論戦ハイライト
獣医学部新設 なぜ加計学園に
「総理の意向」 文科省を一蹴
参院決算委 小池書記局長追及
学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる疑惑を22日の参院決算委員会で追及した日本共産党の小池晃書記局長。政府関係者から「しんぶん赤旗」が独自に入手した一連の内部文書を新たに暴露し、「総理の意向」によって初めから「加計学園ありき」で異例の措置が図られてきた疑いが鮮明になりました。
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反証は政府の責任
政府部内での検討経過を示す文書について、菅義偉官房長官は、作成日時が明確になってない「怪文書」などと決めつけて、開き直っています。
小池氏は「文書が事実でないというなら、それを反証する責任はあなた方にある」と指摘。内閣府審議官と文科省課長らの「打ち合わせ概要」という内部文書には、「平成28年9月26日(月)18:30〜18:55」という日時も、対応した官僚の名前も明記されているとして、次のようにただしました。
小池 打ち合わせを行ったのか。そこで、内閣府としてどういう主張をしたのか。調査、公表してもらいたい。
山本幸三地方創生担当相 出元がはっきりしない、信ぴょう性が明らかでない文書について、答える立場にない。
小池 調べもしないで、否定することはできない。
小池氏は、まともな反証も示さないで文書の信ぴょう性を否定しようとする政府の隠ぺい姿勢を厳しく批判しました。
最短日程作成迫る
また、内部文書では、内閣府が「官邸の最高レベル」の意向として、2018年4月の獣医学部開学をめざし、逆算して最短のスケジュールを作成するよう文科省に迫っていることが記されています。
小池氏は、作成された加計学園の獣医学部新設に向けた「今後のスケジュール」という政府の内部文書も新たに暴露。そこには、「『獣医師の需給』部分について、随時、農水省・厚労省による判断・対応が必要」などの文言のほか、18年4月の開学を懸念する文科省の考えが出ています。小池氏は、次のように迫りました。
小池 文科省として、こうした懸念を(文科省が)内閣府には伝えていたのではないか。
松野博一文科相 (獣医師の)需給の問題について省内議論があり、内閣府、農水省と調整してきた。
小池氏は、内部文書では、これらの文科省の懸念を内閣府が「今治市の区域指定時より『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だ」と一蹴していたことを指摘。「内閣府が『総理のご意向』を“錦の御旗”にして、18年4月の開学を押し付けた」と強調しました。
京産大案を排除したからくり
「広域的」「限り」 特区の条件に
獣医学部新設を求める大学が複数あるなか、どうやって加計学園を選んだのか―。小池氏は、安倍政権が仕組んだからくりを解き明かしました。
安倍首相を議長とする国家戦略特区諮問会議は2016年11月9日に「現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」ことを決めました。
小池氏が示したのは、その諮問会議に向けて内閣府が作成した「国家戦略特区における追加の規制改革事項等について(案)」と題した文書。獣医学部新設の条件を定めた原案です。
小池 原案には、成案に入っている「広域的に」と「限り」との言葉がない。それは認めるな。
地方創生相 途中段階のものについては答弁を差し控える。
小池 否定できないわけだ。当時、京都産業大学が獣医学部新設を提案していたが、広域的に獣医学部が存在しない地域に限るとの条件が盛り込まれ、すでに大阪府立大学に獣医学類があるため断念した。加計学園のための決定だったことは明らかだ。
小池氏はさらに、諮問会議の決定に対する文科省の「修正案」を暴露。修正案には、新たな獣医学部設置を認めるために必要な「対応の一つ」として「今治市の構想が適切であることを示す」ことが明記されています。
小池 今治市ありき、加計学園ありきの動かぬ証拠だ。はっきり認めるべきだ。
地方創生相 ご指摘の文書がどういうものか分からないのでコメントできない。
小池 必要な資料は出さない。われわれが入手したものは怪文書だという。具体的に指摘すると分からないという。こんな無責任な話はない。
小池氏は、文科省の修正案は15年に閣議決定された「日本再興戦略改訂2015」に基づくものだったが、加計学園が絶対に満たすことができないため諮問会議の決定には盛り込まれなかったと指摘。「国会での関係閣僚の答弁、首相も含めすべて虚偽だった可能性がある。極めて重大だ」とし、関係者の国会招致と首相出席の集中審議を求めました。
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