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2017年5月22日(月)

米軍無人偵察機が展開

スパイ活動の体制づくり

日本を拠点に通年運用検討

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 在日米軍横田基地(福生市など東京都多摩地域5市1町)に今月から展開した米空軍の無人偵察機RQ4グローバルホークは、日本を拠点に冬期を含む通年の運用も検討していることが、21日までに、米軍の資料でわかりました。米軍によるインド・アジア太平洋地域での無人機を使った情報収集=スパイ活動に日本が深く組み込まれています。(佐藤つよし)


写真

(写真)着陸したグローバルホーク=14日、東京・横田基地(羽村平和委員会提供)

 今回明らかになった資料は、横田基地の米第5空軍司令部の航空課長が、2015年3月に国際民間航空機関(ICAO)がカナダ・モントリオールで開いた遠隔操縦航空機システムのシンポジウムで行った報告のスライドです。

 「グローバルホークは、(米軍の)太平洋地域へのシフトの、カギとなる構成要素だ」―同資料の最終ページは、米太平洋空軍司令官のハーバート・カーライル大将(当時)が米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)で行った発表(14年5月)の一節を引用しました。同大将の発表は、中国の南シナ海での活動への対処を含む「太平洋空軍のアジア太平洋地域での戦略」でした。

10年にグアム配備

 米軍がグローバルホークをグアムに配備したのは、10年です。資料には、グローバルホークのグアム配備当初から、米軍は夏期の代替施設について調査を開始し、13年前半には日本政府との間で三沢基地(青森県三沢市)への展開を合意(予算削減で13年は中止)したことが記されています。14年春からの日本への展開を正式に合意したのは、13年10月3日の日米安全保障協議委員会「2+2」でした。

 15年は、7月2〜8日に三沢基地へ4機が飛来しました。うち2機は10月末にグアムに戻りましたが、残りの2機は、12月初めまで三沢基地にとどまりました。

 その理由が資料に明記されていました。同年のより遅い時期まで三沢基地を拠点に飛行をすることで「冬期の気候下と長期間の展開の試験」を行うことが目的でした。

1300億円で3機調達

 16年は、滑走路の建設工事のため三沢基地に展開せず、今年も、5月11日から7月4日まで補修工事のために三沢基地の滑走路を使用できず、代わって5月1日〜10月31日に、横田基地に5機が展開する計画となり、5月18日までに4機が飛来しました。

 しかも資料は、三沢基地のような軍民共用空港の混雑も、日本での運用の課題としており、今回の展開は、米軍がほぼ独占的に使用する横田基地でもグローバルホークを運用できる体制をつくるものとなりました。

 資料は、グローバルホークの日本での運用が、日米間の協力の強化になると強調します。日本政府は、グローバルホークの購入を14年11月に決定し、19年度末までに三沢基地への配備を計画。15〜17年度予算で、約1300億円を計上し3機を調達しています。

 米軍のグローバルホークが日本を拠点に活動するだけでなく、日米が共同し、米軍の軍事作戦のための情報収集をする体制づくりが狙われています。


 RQ4グローバルホーク 米空軍の無人偵察機。画像情報収集用の電子・光学センサー、赤外線センサー、合成開口レーダーと、通信傍受用の長・低周波センサーを装備するブロック30(18機)、移動目標表示センサーを追加装備したブロック40(11機)などがあります。航続距離2万2780キロメートル、航続時間最大32時間、上昇限度1万8300メートルで、1万5000メートル以上の高高度から偵察が可能。三沢基地から約5600キロ離れた南シナ海の南沙諸島付近でも8・6時間にわたって偵察ができます。


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