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2017年5月20日(土)

主張

「共謀罪」強行採決

違憲法案を力で押し通す暴挙

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 自民、公明の与党と日本維新の会が衆院法務委員会で、「内心」を処罰対象にする「共謀罪」法案の採決を強行しました。審議をすればするほど人権を侵害する危険な中身が明らかになり、国民の不安と懸念が広がって、今国会で成立させる必要がないという声は世論調査でも多数です。世論に逆らい、野党の抗議も無視して質疑を乱暴に打ち切り、数の力で押し切った自公と補完勢力の責任は極めて重大です。思想・良心の自由などを大本から脅かす憲法違反の悪法を、民主主義を破壊する強引な手法で推し進める安倍晋三政権の暴走は絶対に許されません。

刑法の大原則を覆す危険

 犯罪が起こっていない段階でも2人以上が犯罪を「計画」し、「準備」したと捜査機関が判断すれば、取り締まり、処罰の対象にする「共謀罪」法案は、日本の近代刑法体系の大原則を覆すものです。

 近代刑法は、犯罪があって具体的な被害が生じた場合に初めて処罰することを基本原則にしています。ところが「共謀罪」は、「犯罪をしようと相談しているらしい」と警察がみなせば、捜査が開始され、処罰されるというものです。対象とする罪は277にも及びます。文字通り日本の刑法体系の大転換につながる悪法です。

 政府は「対象は組織的犯罪集団」「一般人は関係ない」と繰り返しますが、そんな歯止めはまったくないことが、国会審議の中で次々と浮き彫りになっています。

 どんな団体や個人を対象にするかを決めるのは警察です。その警察はいまでも恣意(しい)的な判断によって、秘密裏に一般市民に対する尾行や盗撮などを行って、病歴・学歴を含む詳細な情報を収集する人権侵害にあたる違法捜査をしており、そのことを「通常業務の一環」などと正当化しています。

 そんな警察が、「話し合った」「準備をした」ことで捜査・処罰できる「共謀罪」を手にしたらどんな事態になるか。「犯罪を話し合った」証拠を手に入れるために、いまよりはるかに早い段階で範囲も広げた捜査を行うことを可能にします。「実行準備行為」は、ATMでお金を下ろすなどの日常行為と違いがないため、その行為の目的を捜査するとして「内心」に踏み込むことは避けられません。「話し合い」を調べるとして電話やメール、LINEなどのやりとりも常に監視される危険もあります。集会やパレードなどの参加者への不当な監視にお墨付きを与え、いっそうの強化につながりかねません。

 憲法が保障する、思想・良心の自由(19条)、集会・結社・表現の自由、通信の秘密(21条)などに根本から反する「共謀罪」法案は廃案にするしかありません。

政府追い込む世論さらに

 安倍政権が持ち出す「テロ対策」のためという口実も崩れています。法案を所管する金田勝年法相が法案をまともに説明できないことは、大臣の資質や能力の欠如と同時に、「共謀罪」法案の深刻な矛盾と破綻を示しています。

 「数の力」で強権的にしか押し通せない法案の道理のなさは明白です。世論の高まりで、当初描いていた審議日程を狂わせるなど安倍政権を追い込んでいます。「戦争する国」づくりと一体となった監視社会づくりを許さない「共謀罪」阻止の世論と運動を広げることが急務となっています。


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