2017年5月17日(水)
憲法9条改悪阻止闘争本部初会合
志位委員長のあいさつ(要旨)
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16日、国会内で開かれた日本共産党「憲法9条改悪阻止闘争本部」初会合での本部長の志位和夫委員長のあいさつ(要旨)は次の通りです。
安倍改憲阻止へ、党の総力をあげる
5月3日、安倍総理は、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行すると宣言しました。
この動きとのたたかいは、日本の未来がかかった大闘争になります。安倍首相の改憲策動を必ず打ち砕くために、日本共産党は党の総力をあげて頑張りぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)
そのために衆参35人の国会議員全員が参加して、この闘争本部を設置しました。みんなで力を合わせ、他の野党のみなさんとも協力し、市民のみなさんとも連携して、改憲策動を必ず打ち破るために頑張りぬこうではありませんか。(拍手)
二重の憲法違反の発言
今日、「朝日」の世論調査が出ておりますが、安倍首相が改憲を提案したことについて「評価しない」が47%、「評価する」が35%です。自衛隊を憲法に明記する9条改定について「必要ない」が44%、「必要」が41%です。そして、「安倍首相に今、一番力を入れてほしい政策を一つ選んでください」という設問には、「憲法改定」が一番低くて5%という数字です。
国民は憲法9条改定を望んでなどいません。そのときに行政府の長である内閣総理大臣が期限を区切って9条を変えろと号令をかけるのは、憲法99条――憲法尊重擁護義務に違反する憲法違反の発言だといわなければなりません。また、これは三権分立の否定であり、二重に憲法違反の発言だとまずいいたいと思います。(拍手)
国民的多数派を結集するカギは
この問題で、国民的多数派を結集していく最大のカギはどこにあるでしょうか。
安倍首相は「9条の1項、2項はそのままにして、3項に自衛隊を明記する」という。「自衛隊が違憲という議論の余地がないようにするだけだ」という。この発言を聞いて、現にある自衛隊を書くだけだからたいしたことがないのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、これは現にある自衛隊を憲法上、追認するにとどまるものではありません。憲法9条2項を空文化=死文化し、海外での武力の行使を、文字通り無制限に可能にすることに一番の本質があり、狙いがあります。このことをどれだけ多くの方々に広げることができるかどうかに、たたかいの帰趨(きすう)がかかっていることを、強調したいと思います。
3項が独り歩きして、役割がとめどなく広がる
なぜ9条2項を空文化=死文化することになるのか。
まず、「3項」という独立した項目で、自衛隊の存在理由を書いたらどうなるか。「3項」が、独り歩きをして、自衛隊の役割がとめどなく広がっていくことにならざるを得ません。
いまの憲法では、自衛隊の「じ」の字もありません。それどころか戦力の保持が禁止されています。この憲法のもとで、あんな巨大な軍隊をつくり、海外派兵の仕組みまでつくったのが自民党です。その自民党に「自衛隊」と明記した憲法を与えたら、歯止めがない役割の拡大になる危険があることは、火を見るよりも明らかです。
「例外規定」で自衛隊を明記したら
安倍首相は、「3項」にどういう形で自衛隊を書き込むかは語っていません。ただ、いくつか重大な「提案」がされています。
一つは、5月3日の改憲集会で、古屋圭司自民党選対委員長が自分の「私案」として、「3項」に「前項の規定にかかわらず自衛のための自衛隊をおくことができる」としたらどうかという発言をしていることです。「前項の規定にかかわらず」というのは、2項の「例外規定」として、自衛隊を明記するということです。
いま一つは、昨年、「日本会議」の政策委員の伊藤哲夫氏が出した案です。「3項」に「但(ただ)し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」と明記するとの案です(『明日への選択』昨年9月号)。これも、「但し……」と、2項の「例外規定」として、自衛隊を明記するというものです。
2項を残しつつ、その「例外規定」として自衛隊を明記する。そこが共通しています。このような形で自衛隊を明記すれば、2項を残したとしても、2項の制約が自衛隊に及ばなくなり、2項は空文化=死文化されることになるでしょう。自衛隊は2項の制約から解き放たれて、海外での武力の行使が無制限に可能になります。現にそういう提案が、自民党の執行部や、「日本会議」の幹部から具体的に出されていることはきわめて重大です。
憲法9条2項の空文化=死文化と、無制限の海外での武力の行使――ここに一番の本質があり狙いがあるということを論戦で明らかにし、また広く国民に伝え、安倍9条改憲阻止の圧倒的な国民世論をつくるために、頑張ろうではありませんか。(拍手)
野党と市民の共闘で安倍改憲阻止へ
「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する」。このことを野党4党の党首合意として、昨年確認しています。野党間には憲法についていろいろな意見の違いもあると思います。しかし、安保法制=戦争法の強行に示されたように、立憲主義を平気で否定するような内閣のもとでの憲法改定は論外であり、安倍首相には憲法をいじる資格はないという点で野党4党は一致しているわけですから、この一致点を大事にして野党と市民の共闘を発展させ、安倍改憲を阻止していきたい。この決意を申し上げてあいさつとします。(拍手)