2017年5月11日(木)
松川事件
「資料」を世界記憶遺産に
福島大と「会」 申請書を送付
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1949年8月に福島市松川町の国鉄東北本線で発生した、戦後最大の謀略事件とされる列車転覆事件以来の「松川資料」のユネスコ「世界の記憶」(世界記憶遺産)への登録をめざす福島大学と登録を推進する会は10日、国内公募申請書を同日郵送しました。
「松川資料」は、事件と、一審の死刑を含む全員有罪判決から一転して全員無罪を確定した裁判と、勝利につながる広範な市民運動の記録を集めたもの。
中井勝己同学長、今野順夫(としお)登録を推進する会共同代表世話人、伊部正之松川資料室運営委員会委員、吉田吉光NPO福島県松川運動記念会事務局長が福島大学(福島市)で記者会見しました。元松川事件被告の阿部市次氏が同席しました。
中井学長は「1988年、福島大学に『松川資料室』を開設し、収集した資料は10万点余。この大事件をきちんと位置付け、後世につないでいく必要がある」と話しました。
申請者は福島大学で、申請案件名は「松川事件・松川裁判・松川運動の記録」(略称・松川資料)。「えりすぐりの5種類400点。5回全部の裁判資料がそろっているのはここだけで、関連資料も貴重なもの」(伊部氏)です。
国内申請は15日締め切り。日本ユネスコ国内委員会は審査を経て8月末までにユネスコ本部へ2件を提出。世界遺産認定は2019年です。
松川事件 1949年に福島市の東北本線金谷川―松川駅間で起きた、下山事件、三鷹事件に続く列車転覆事件。国鉄や東芝の労組組合員20人が犯人に仕立てられ、一審では死刑を含む全員有罪判決が下されたものの、61年の差し戻し審仙台高裁判決で全員無罪、63年、最高裁で無罪確定しました。