2017年5月2日(火)
公式確認から61年
全面解決 早く
熊本 水俣病犠牲者を追悼
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水俣病の公式確認から61年を迎えた1日、「水俣病犠牲者慰霊式」が熊本県水俣市で開かれました。患者団体などでつくる実行委員会と水俣市の主催で、遺族や被害者ら約700人が出席しました。
妊娠中に汚染魚介類を食べた母親の胎内でメチル水銀に侵され、生まれながらに水俣病を抱えた胎児性患者の滝下昌文さん(60)らが「祈りの言葉」を述べました。
胎児性の仲間で、歌手の石川さゆりさんを水俣に招いたコンサートの再演を39年ぶりに成功させたことについて、実行委員長を務めた滝下さんは「健康への不安や家族の支えを失う仲間もいる中で、今後を生きていく大きな力と自信になった。過去は変えられないけれど、精いっぱい生きることが未来に向かって生きている誰かの心の支えになればと思います」と語りました。
日本共産党の仁比聡平参院議員が参列、献花しました。
水俣病は、チッソが海に流した工場排水中のメチル水銀に汚染された魚介類を多食することによって、多くの不知火海沿岸住民が健康被害を発症したもの。行政による患者認定の基準は極めて厳しく、多くの被害者が救済から取り残され、いまだに裁判などに立ち上がらざるを得ない状況です。
式典後、患者団体は山本公一環境相と面談。全面解決に向けて不知火海沿岸住民の健康調査実施などを求めましたが、半年前の面談で「調査の手法開発にスピードアップを指示している」と述べていた山本氏は今回も、具体的な進捗(しんちょく)状況や時期を明らかにしませんでした。