2017年5月2日(火)
復興相、被災者の実態に背むけ
共産党質問に 官僚の答弁書棒読み
吉野正芳復興相に対する初の質疑となった4月28日の衆参両院の復興特別委員会。就任時に原発事故で苦しむ福島県選出議員として「被災者の気持ちは誰よりも分かる」と語ったものの、質疑では被災者の深刻な実態から目をそむけ、官僚がつくった答弁書に視線を落とす姿が目立ちました。
日本共産党の岩渕友参院議員は、原発事故で福島市から東京に障害を持つ息子と避難している女性の事例を紹介。女性自身にも障害があり半年前に手術したばかり。「自主避難者」への住宅無償提供の3月末での打ち切りでアパートの退去を迫られました。都営住宅に引っ越したものの、経済的不安からガスも引けず、周囲が支援するまで1カ月も入浴できず、病院で処方された栄養ドリンクが食事という状況でした。
岩渕氏がこうした事態を把握していたかとただすと、吉野氏は答弁書に目を落として国や福島県の相談体制を説明するだけ。委員会室からため息が漏れました。
日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は、国が避難指示を解除した川内村の避難者が苦渋の決断を迫られたと告発。3月末で閉所した郡山市の仮設住宅で、通院などの事情で避難解除後も残ってきた住民の「4月で電気、ガス、水道が打ち切られると思ったから仕方なく帰った」との言葉を紹介し、国として避難者の追跡調査が必要だと訴えましたが、吉野氏は「福島県と情報共有していく」と繰り返すばかりでした。