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2017年4月29日(土)

主張

大阪「カジノ万博」

賭博では輝く未来は描けない

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 政府は24日、2025年の国際博覧会(万博)の大阪誘致へむけパリの博覧会事務局(BIE)に立候補を届け出ました。松井一郎大阪府知事(日本維新の会代表)が名乗りを上げた同構想を、安倍晋三政権と財界が後押しします。しかし、カジノ(賭博場)を中核とする統合型リゾート(IR)とセットになっていることや、会場予定地が地震などに脆弱(ぜいじゃく)な人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)であることなどに、国民、府民から疑問と批判の声が上がっています。

本音を隠して推進狙う

 松井知事は、「成長の起爆剤」としてIRと万博の相乗効果をうたいます。しかしメディアの全国世論調査でカジノ解禁反対は6〜7割を占めます。昨年秋の「読売」の府民世論調査では、大阪万博賛成59%、カジノを含むIR反対52%です。万博とカジノを結びつけることの矛盾の表れです。立候補の届け出では「カジノ」に言及していません。本音を隠し支持を得ようという姑息(こそく)なやり方です。

 「カジノ解禁推進法」は昨年12月、自民、維新、公明の多数の賛成で成立しました。安倍政権がカジノと万博に全面的な応援に乗り出した背景には、安倍首相の悲願の改憲で維新の協力を取り付けたい思惑などが指摘されています。

 日本はすでに500万人を超すギャンブル依存症大国です。「ギャンブル依存症対策」をいうならカジノ自体をやめるべきです。

 カジノは刑法が禁ずる賭博であり、他人の不幸の上に成り立つビジネスです。韓国では犯罪、勤労意欲の減退、家族離散など地域社会の崩壊が問題となり、カジノによる経済的損失は経済効果の4・7倍の年間7兆7千億円にのぼるという試算もあります。カジノによって「いのち輝く未来社会のデザイン」(大阪万博のテーマ)など描けるはずがありません。

 予定地の夢洲は埋め立て完了後に390ヘクタールの人工島になります。約100ヘクタールを万博会場、約70ヘクタールをIR用地にする予定です。

 専門家は、南海トラフ大地震が起きれば夢洲は液状化し、津波にのみ込まれる恐れがあり、なぜこんな危険な場所に3000万人(万博来場予定数)もの人を集めようとするのかと警告します。

 府や市の巨額な負担も懸念されます。万博会場建設費は約1250億円、運営費は約800億〜830億円にのぼります。このほかに鉄道整備が必要です。地下鉄中央線の延伸などの鉄道整備等と関連事業費だけで730億円と試算されています。大阪市の吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)は「万博は期間限定だが、国際観光拠点(IR)は永続的」と議会答弁しました。鉄道整備など巨額の財政負担もカジノのためだといわんばかりです。

「あかん」の共同を広げ

 夢洲、舞洲(まいしま)、咲洲(さきしま)のベイエリアはさまざまな誘致構想が浮上し、ことごとく破たんした地域です。当初は万博会場の候補でもなかった夢洲はカジノ誘致が先行していました。松井知事は「大阪の成長にはベイエリアの活性化が必要」といいますが、無駄な大型開発の二の舞いになりかねません。

 「賭博解禁はあかん」「夢洲への『カジノ万博』誘致はやめて」の一点で、支持政党や団体などの垣根をこえた共同を広げることが、いよいよ重要となっています。


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