2017年4月27日(木)
「赤旗」考 (上)
メディアの勇気 試される時代に
「きょう言いたいのは、自分の反省を込めてですけど、小選挙区制導入というのは、ここまで独裁体制をつくっちゃうのかなと」
23日朝放送のTBS系報道番組のなかでコメンテーターの岸井成格(しげただ)氏が、「安倍1強」といわれる政治状況を生み出した原因について、自戒を込めて語りました。
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1990年代前半、小選挙区制導入の是非が大問題になったとき、「これこそ政権交代可能な仕組みだ」「政治腐敗を一掃する政治改革だ」などと、導入の旗を振ったのが、新聞やテレビなどの大手メディア、岸井氏もその一人でした。
当時、小選挙区制の反民主主義的な危険に警鐘を鳴らしたジャーナリストは少数派。ニセ「改革」だといって、連日、導入反対の大キャンペーンを張ったメディアは「赤旗」くらいのものでした。それは、「反対」=「守旧派」のレッテルが貼られる中、勇気のいることでした。
いま、日本のメディアには「勇気」が試されています。
北朝鮮の核・ミサイル開発にどう対応するのか。「米国は軍事的選択肢をとるな 外交交渉のなかで北朝鮮の非核化を」―志位委員長が発表した見解について、「今、日本の政治に、正論を吐く政党がほとんどなくなる中で貴重な発言だと思います」(元共同通信編集委員の中村明氏)という声があがります。
メディアの世界も同じです。軍事的選択肢を視野に入れるトランプ米大統領の姿勢を「高く評価する」という安倍首相の発言を無批判、無警戒に垂れ流し、北朝鮮がミサイルを発射したらどうするのかと不安ばかりをあおるメディアの状況。そのなかで、「いま重要なことは、いかにしてミサイル発射などという状況にしないことだ」と、外交的解決に徹するよう論陣を張るのが、「赤旗」です。
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共謀罪をめぐっても、同じです。作家の半藤一利氏が、「『戦前と違う』とは思わない」ことだと、メディアに警告を発しています(「朝日」20日付)。
「太平洋戦争が始まる数年前までは明るかった。…それが窮屈になるのは、あっという間だった。その時代を生きている人は案外、世の中がどの方向に向かっているのかを見極めるのが難しいものだ」
だから、「今回の法案についてメディアはもっと敏感になるべきだ」と。
「赤旗」の創刊は1928年、主権在民、侵略戦争反対など真実を伝えるため非合法で発行されました。が、それゆえに、当時の天皇制政府の激しい弾圧を招き、35年に発行不能に。世の中がいっそう「窮屈」になっていく時代でした。
しかし、いま、共謀罪の危険な本質を徹底追及する「赤旗」は健在。100万を優に超える読者と結びつき、勇気を運びます。
メディアの勇気が試される時代、「赤旗」の役割はますます重要になっています。(曽)