2017年4月26日(水)
精神保健福祉法改定案 措置入院制度を強化
14団体が集会 立法事実なし、撤回を
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相模原事件を理由に措置入院制度の強化を図るとした精神保健福祉法改定は、「精神障害がある人への政府からのヘイトクライム(憎悪犯罪)だ」などと訴える集会が25日、国会内で開かれ、約260人が参加しました。病棟転換型居住系施設について考える会、日本障害者協議会(JD)など14団体の共催です。
参議院で審議中の同改定案について、厚生労働省が13日に突然、法案概要の「改定趣旨」から「相模原事件と同様の事件の再発防止のため、法整備を行う」としていた根幹部分を削除しました。「法案の基礎が失われた。法案を撤回して出直せ」との批判が急速に広がっています。
集会では3人が基調講演。長谷川利夫杏林大学教授(保健学)は「立法事実がないのに政治主導で進めてきた法案は廃案以外にない。運動を通じてどのような人も受け入れられる社会をつくっていけるよう共にがんばりたい」と語りました。
弁護士の姜文江さんは「医療・福祉関係者との信頼関係を築けず医療にたいし拒否的になる恐れがあり、精神障害者に対する差別の助長になる」と法案の人権侵害の問題を指摘しました。
精神科医で筑波大学教授の斎藤環さんは、「日本の精神医療は隔離・収容主義が止まらず国際的にも恥ずかしい状況だ。警察の介入など、これが強化される懸念が非常に大きい」と法案への怒りを表明しました。
障害当事者や支援者、家族などが報告。JD常務理事の増田一世さんは、障害者権利条約は強制入院の全廃を求めているとして、強制入院での権利擁護の仕組みの創設などを求めました。
強制入院の体験がある、たにぐちまゆさん(大精連ぼちぼちクラブ)は、「措置入院の強化はすべての患者に及び、自分の人生を主体的に生きることができなくなる。そんな人生を送りたくない」と訴えました。
日本共産党、民進党、社民党の各議員が参加。共産党の倉林明子参院議員は「厚労省は立法事実を説明できなくなり、治安目的の改定だとはっきりしてきた」と指摘し、撤回まで野党は団結して審議に臨むとのべました。