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2017年4月19日(水)

主張

日印原子力協定

核拡散加速の原発輸出は危険

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 安倍晋三首相が昨年11月にインドのモディ首相と合意した「日印原子力協定」をめぐる国会審議が始まっています。「成長戦略」だと称して各国に原発を輸出しようという安倍政権の政策が背景ですが、インドは核不拡散条約(NPT)などにも加わっていない核兵器保有国です。日本が輸出した原発や核物質が核兵器の開発に使われないという保証はありません。核兵器の禁止が国際的な世論となり、北朝鮮の核開発なども大きな焦点となる中、核兵器をさらに拡散しかねない原発などの輸出は、原爆投下や原発事故を経験した国として直ちにやめるべきです。

原発事故体験した被爆国

 安倍政権は経済政策「アベノミクス」の一環の「成長戦略」だとして、トルコなど各国と相次いで原子力協定を結び、原発などの輸出を目指してきました。日本国内では東京電力福島第1原発事故さえ収束しておらず、国際的にも原発の安全性や経済性についての見直しが進んでいるのに、原発輸出の拡大は許されないと批判されるのは当然です。アメリカのウェスチングハウス(WH)と手を組んでインドなどへの原発輸出を拡大しようとした東芝も、海外での原発開発がうまくいかず、経営が不安定になり、WHとの提携から撤退するありさまです。

 何より日本は第2次世界大戦の末期にアメリカによる原爆投下で大きな被害を受けた世界で唯一の戦争被爆国であり、その後のビキニ環礁での水爆実験などでも被害を受けました。インドは核兵器の新たな保有を認めないNPTや包括的な核実験を禁止する条約(CTBT)に加盟しておらず、1970年代から核実験を繰り返し、現在でも100発を超す核兵器を保有しているとみられます。インドとの協定には核実験の歯止めさえ明記されておらず、NPTに参加しない核兵器保有国との協定締結は核兵器開発を追認し、被爆国である日本の核廃絶を目指すべき立場を損なうことにもなります。

 日印原子力協定が発効すれば、日本の原発メーカーがインドに原発などを輸出するのを可能にするだけでなく、インドに低濃縮ウランの製造や使用済み核燃料の再処理を認めることにもなっています。濃縮ウランや核燃料を再処理して取り出すプルトニウムなどの核物質は核爆弾の材料となる物質なのに、軍事転用の規制は曖昧です。

 インドはいま核兵器の開発を「一時停止」(モラトリアム)しているといいますが、もしインドが核兵器の開発を再開しても日本は核物質の「在庫」などをチェックできず、輸出した施設や核物質を回収することもできません。日本が輸出した原発や核物質がインドの核兵器開発を加速する恐れは軽視できません。

国際的世論に背向けるな

 いま世界では核兵器禁止条約を作ろうという国連の会議が前進し、核兵器廃絶の国際世論が大きく高まり、それに逆行した北朝鮮の核兵器開発の策動などが国際的批判を集めています。唯一の戦争被爆国である日本の安倍政権が核兵器禁止条約の国連会議に背を向けたうえ、インドの核開発に手を貸す事態にでもなれば、国際的批判は免れません。

 国際世論に応えるためにも日印原子力協定は廃案にし、「原発ゼロ」の日本をこそ目指すべきです。


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