2017年4月19日(水)
「共謀罪」反対 地方から
日常監視される 「密告」社会招く きょう審議入り
45議会が意見書
「心の中」を処罰する違憲立法の「共謀罪」法案の質疑が、19日の衆院法務委員会で始まります。こうした中、「共謀罪」法案の反対・撤回などを求める意見書を採択した地方議会が、全国で45議会にのぼることが日本共産党自治体局の調べでわかりました。長野県では県内自治体数の4分の1以上にあたる21議会で採択。北海道の芦別市、安平町、福島県川俣町では全会一致で採択されるなど、「共謀罪」法案への批判は強まっています。
「憲法で保障されている思想・信条、内心の自由を侵すもの」。芦別市議会が採択した意見書は、「共謀罪」法案の違憲性を指摘した上で、共謀罪が創設されれば「警察の日常的監視、『密告』社会を引き起こします」「日常的に会話を盗聴する捜査が行われる可能性がある」と述べ、同法案の撤回を強く要望しています。
福岡県中間市議会の意見書は、安倍首相が「(国際組織犯罪防止条約の締結は)テロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠」と国会で答弁していることに対して、同条約は経済犯罪対策であることなどにふれて「安倍首相の答弁は、偽りであることは明白」と批判しています。
■「共謀罪」法案の反対・撤回などを求める意見書を採択した地方議会(3月末現在)
【北海道】芦別市 江差町 安平町
【岩手県】北上市 花巻市 奥州市 軽米町
【福島県】会津若松市 喜多方市 川俣町 湯川村
【東京都】国立市 小金井市
【新潟県】新発田市
【長野県】千曲市 須坂市 飯山市 御代田町 山ノ内町 辰野町 飯綱町 坂城町 南木曽町 小海町 立科町 高山村 木祖村 小布施町 野沢温泉村 栄村 宮田村 木島平村 中川村 豊丘村 大桑村
【京都府】向日市
【奈良県】三宅町 大淀町 川西町
【鳥取県】北栄町 日吉津村
【高知県】須崎市
【福岡県】中間市 小竹町 苅田町
地方紙も反対の声
「共謀罪」法案反対の声は、地方紙の社説・論説でも相次いでいます。
高知新聞(15日付)は、恒常的な監視が必要になるとして「捜査権の乱用につながりかねない」「『乱用はあり得ない』と断定する首相や政府側の言い分は、根拠が薄く無責任」と批判しました。
沖縄タイムス(17日付)は「権力の乱用招く法案だ」との見出しで、プライバシー権や通信の秘密が侵害される恐れを告発し、琉球新報(8日付)は「戦前の治安維持法の再来となる危険な法案である。廃案に追い込むしかない」と主張しています。
ほかにも「テロ対策を名目に市民社会を萎縮させる法案であれば不要である」(西日本新聞8日付)、「廃案もためらうべきではない」(新潟日報11日付)と厳しい論調が続きます。