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2017年4月15日(土)

主張

東芝経営危機

根本を正さねば信頼されない

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 国内有数の老舗大企業である東芝が、昨年4〜12月期の決算を2回にわたって延期したあげく、監査法人のお墨付きがないまま発表するという異例の事態になっています。このままでは上場廃止もありうる状況です。東芝はもうけ第一主義で粉飾決算を繰り返して批判を浴び、加えてアメリカの原発メーカー、ウェスチングハウス(WH)を見通しがないまま買収して巨額の債務を抱えこみました。WHは切り離し、債務の穴埋めのために稼ぎ頭の半導体部門を売却することにしましたが再建の見通しは立っていません。根本を正さなければ、信頼は得られません。

市場の信用失う大失態

 株式市場に上場する企業は、経営を公開するため定期的に決算を発表することが求められています。それが大幅に遅れたり、公認会計士が決算にお墨付きを与える監査法人の意見を付けなかったりすれば、上場の維持が難しくなります。東芝は2月に予定した12月期の決算を2回延期しており、今回ようやく発表したものの監査法人の意見を付けられなかったのは、経営として大失態です。株主や銀行など投資家の信頼は得られず、今後予定される3月期決算も難航が必至です。

 東芝は12月までの3・四半期だけで5000億円以上の損失を計上しています。自己資本を上回る債務超過です。監査法人がその決算を認めなかったのは、WHをめぐり赤字がもっと膨らむ可能性があり、一部の経営者が赤字を小さく見せるよう会計処理に不適切な圧力をかけていたなどの疑惑が調査中のためです。

 東芝は3月、巨額の赤字を抱えたWHにアメリカの倒産法を適用申請することを決定、東芝の決算からは切り離すことにしましたが、それに伴う損失は最終的に1兆円にも上るとみられており、文字通り企業存続の危機です。

 東芝の経営危機の最大の原因は、粉飾決算(不正会計)を繰り返したうえ、国内だけでなく世界でも原発拡大に依存し、当初から高い買い物といわれていたWHの買収を一部経営陣の強い意向で強行してきたためです。「原発ルネサンス」などと原発建設をもてはやし、2011年の東電福島第1原発事故後、世界的に原発からの撤退が相次いでいても原発推進をあきらめず、経営の傷を広げていきました。WHは切り離しても国内での原発開発は続けており、原発推進路線の根本的な転換はありません。

 東芝は電気製品や、鉄道など社会インフラ、半導体などが原発と並ぶ主要分野ですが、稼ぎ頭となっている半導体部門を売却し、原発部門で巨額に膨らんだ赤字を穴埋めしようとしていることにも批判があります。3月末の株主総会でも批判が続出しました。そうした声にさえ耳を貸そうとしない東芝に反省はありません。

原発推進の行き詰まり

 東芝の経営危機は、原発を推進して破綻を招いた東芝自体とともに、歴代自民党政権や財界、電力業界などが一体になって進めた原発推進路線の行き詰まりです。

 巨大な企業が破綻する事態になれば、労働者や下請け、消費者や利用者も深刻なしわ寄せを受けることになります。危機を招いた経営者の責任を明確にするとともに、安倍晋三政権や財界もしわ寄せを防ぐ手だてを尽くすべきです。


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