2017年4月13日(木)
きょうの潮流
東京電力の会長や社長が近ぢか交代します。会見を見ると、次期会長の川村隆氏は「時間をかけながらやっていきたい」と話していました。新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働のことです▼同氏は、東電救済のため事故処理費用を国民の電気料金や税金に上乗せして回収することや、経営の柱に原発再稼働を位置づけた改革方針を決めた政府の有識者会議の構成員です▼原発メーカー日立製作所の名誉会長でもあります。会見で原発の新増設を問われ、2030年に発電電力量の20〜22%を原発でまかなうとの政府方針を踏襲し、「そういうレベルの原発は必要と思っている人間」といってはばかりません。原発関連企業が直面する経営危機も人ごとです▼福島県が求める福島第2原発の廃炉については「勉強が進んでいない」といい、次期社長の小早川智明氏は「総合的に判断する必要がある」と明言を避けました。福島第1原発事故を起こした責任をどう考えているのか▼事故の収束・廃炉の見通しも立っていません。同じ会見で広瀬直己現社長は就任5年を振り返り、汚染水漏れなど「トラブルとおわびの連続だった」と話しましたが、隠ぺいもあります。最近も免震重要棟の耐震不足を3年間隠していました▼事故でふるさとを追われた住民が東電と国を訴えた裁判での、原告の訴えを思い出します。「原発をなくさなければ、誰もがみんな被害者になる可能性があります。ふるさとをなくす、住む家をなくす、家との関わりを一切なくすことがあると…」