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2017年4月11日(火)

主張

敵基地攻撃能力

憲法に反し軍事緊張を高める

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 北朝鮮が繰り返すミサイル発射を理由に、自民党内で、「敵基地攻撃能力」の保有を求める声が強まっています。北朝鮮のミサイル発射は、核兵器の開発と不可分の軍事行動であり、国際社会の平和と安全に深刻な脅威を及ぼす、許し難い暴挙です。国際社会が一致結束し、北朝鮮への経済制裁を厳格に実施・強化するとともに、外交交渉で非核化を迫ることがいよいよ重要になっています。一方で、敵基地攻撃能力の保有は、無法な先制攻撃も可能にし、軍事挑発に軍事力の強化で対抗し合うという危険な悪循環を加速させ、軍事緊張を激化させることになります。

自民党が早期検討求める

 自民党政務調査会は3月末、「北朝鮮の新たな段階の脅威」に対処するためとして、敵のミサイル基地などをたたく「わが国独自の敵基地反撃能力の保有」を直ちに検討するよう求める提言をまとめ、安倍晋三首相に手渡しました。

 提言は、そのための能力として、敵基地の位置情報の把握、それを守るレーダーサイト(施設)の無力化、精密誘導ミサイルによる攻撃などを例示しました。具体的には、ミサイル基地などを特定する偵察衛星や無人偵察機、敵の地上レーダーをかく乱する電子攻撃機や攻撃対象をたたくステルス戦闘爆撃機、陸上や潜水艦、イージス艦から発射する弾道ミサイルや巡航ミサイルなどが必要です。

 こうした能力の保有は、「反撃」どころか、公然と他国に攻め込み、大規模な攻撃を仕掛けることができる「攻撃能力」を持つことに他なりません。

 1956年、鳩山一郎首相は、日本への攻撃を防ぐのに「他に手段がない」場合に限り、敵のミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能」との見解を示しています。一方で、59年に伊能繁次郎防衛庁長官は、鳩山首相の見解の「根本は法理上の問題」であり、「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を普段から持つことは「憲法の趣旨とするところではない」としています。

 安倍内閣は現在、敵基地攻撃に必要な兵器体系の中で重要な役割を果たす最新鋭のF35ステルス戦闘機や空中給油機などの導入を進めています。建前の上では、敵基地攻撃を目的とした兵器体系を保有する計画はないし、個別的自衛権の行使として敵基地を攻撃することも想定していないとしつつ、「検討」は当然視しています(3月31日、参院本会議)。敵基地攻撃能力の保有が憲法に違反するのは明白であり、検討の余地は全くありません。

 敵基地攻撃能力の保有は、桁外れの大軍拡への道でもあります。2017年度の軍事費は、約5兆1千億円と過去最大になっています。敵基地を攻撃できる兵器体系を持つとなれば、さらに兆単位の増額が必要と報じられています。

平和的解決の方策強化を

 北朝鮮による5日のミサイル発射を厳しく非難した国連安保理の報道声明は「朝鮮半島と周辺の緊張を減らすために活動する重要性」を強調しています。敵基地攻撃能力の保有という軍事対応の強化は問題の解決になり得ません。

 声明が述べているように、「対話を通じた平和的、包括的な解決を促進するための取り組み」こそ、抜本的に強めることが求められています。


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