2017年4月9日(日)
築地改修 734億円で可能
小島座長試算「生の意見聞き進める」
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東京都築地市場の豊洲移転計画を検証している市場問題プロジェクトチームの小島敏郎座長らは8日、築地市場で行った業者のヒアリングで、築地市場の改修は約734億円で可能だとする試算を示しました。小島座長は「築地市場の再整備は建築技術的には何ら問題なく可能だ」と述べました。
改修案は、施設を段階的に移転・更新することで順次、種地を確保し、課題となっている耐震化や、封じ込めているアスベストの処理も行うもので、調査に1年半、各施設の移転改築に5年半かければ可能としています。
費用は734億円を見込み、改修による都市場会計の年間の赤字額は10億〜20億円程度で、豊洲市場を開場した場合に見込まれる年赤字額約100億円と比べれば「営業努力で対処可能な額だ」としています。豊洲予定地については、都の普通財産として引き継いだ上で売却する案を示しています。
一方、豊洲新市場を開場した場合、市場会計の破綻を回避するため、(1)市場業者が支払う使用料収入の値上げ(2)現在11ある卸売市場を順次売却する(3)税金を投入する―方策を行うことになるとしています。
会合で小島座長は、1990年代に頓挫した現在地再整備計画は過大だったとの認識を示した上で、「築地市場の改修を成功させる条件は、築地の人々が築地で営業を続けたいという気持ちをどれだけ強く持っているかだ」と述べ、5月に予定する報告書の策定に向けて「実際に仕事している人の生の意見を聞いて、私どもの作業を進めたい」と語りました。
会場の業者からは「素晴らしい再整備案だ」などの声が出されました。業界団体役員の男性は「豊洲は土壌汚染とランニングコストの問題があり、行きたくない。築地の再整備で一番難しいのは業界調整と種地だが、われわれが『本当に築地で営業したい』という声を上げなければならない」と語りました。