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2017年4月7日(金)

「共謀罪」法案に対する藤野議員の質問(要旨)

衆院本会議

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 日本共産党の藤野保史議員が6日の衆院本会議で行った「共謀罪」法案に対する質問(要旨)は次の通りです。


 共謀罪は、過去3回、国会に提出されましたが、いずれも廃案に追い込まれました。何をしたかではなく、何を考えたか、合意したかが処罰の対象となり、内心の処罰に限りなく近づいていきます。

 かつて国家権力が、市民の内心を侵害した反省から、近代刑法は「既遂」の処罰を大原則としています。共謀罪は、この近代刑法の大原則を覆し、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由、適正手続き保障などを侵害する違憲立法です。

 安倍政権は国民を欺くために、“東京五輪・パラリンピックを開催するには国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が必要であり、そのための「テロ等準備罪」”だと、過去3回と異なる説明を加えています。

 東京五輪・パラリンピック開催決定後の治安対策の行動計画に、「共謀罪」の言葉は出てきません。「五輪のため」は、国民を欺く口実ではありませんか。

 TOC条約の主眼は、マフィア等による国際的な経済犯罪の処罰化です。政府も、条約起草委員会の会合で、テロは「本条約の対象とすべきでない」と主張していました。

 政府原案には「テロ」の文言が一つもなく、あわてて「テロリズム集団その他」の文言を加えましたが、いまだに第1条「目的」に「テロ」の文言はありません。「テロ等準備罪」の呼び名は、看板のつけ替えにすぎません。

 同条約の対象犯罪を676から277に絞り込んだ判断基準は何ですか。犯罪の内容で対象犯罪を選別することはできないという過去の説明との整合性はつくのですか。政府の判断で選別できるなら、時の政権の判断で、いくらでも対象犯罪を増やせることになります。

 野党が情報開示を求める、同条約締結国での共謀罪・参加罪の規定、運用状況、国連の「立法ガイド」に関する資料、条約起草段階の外務省公電などを、政府は頑として開示しません。審議に不可欠なこれらの資料の開示を強く求めます。

 同条約第34条1項は、「自国の国内法の原則に従って必要な措置をとる」と定めています。日本はすでにテロ防止のための13本の国際条約を締結し、66の重大犯罪について、未遂の前段階で処罰できる国内法を整備しています。共謀罪を新設することなく、ただちに同条約を締結すべきです。

 政府は、組織的犯罪集団や準備行為という要件を加えたから「共謀罪とは全く異なる」と説明します。

 組織的犯罪集団について、金田法相は、テロ組織、薬物密売組織、暴力団以外の団体も対象となりうると認めました。「一般人は対象にならない」どころか、誰もが対象になりうるのです。

 準備行為は「客観的な危険性」を要求されておらず、日常的な行為も含みます。桜並木を歩くのが花見なのか、犯罪の下見なのか。金田法相は、違いは目的であり、目的を「しっかり調べる」と答弁しました。まさに内心を処罰することになるではありませんか。

 組織的犯罪集団や準備行為にあたるかを判断するのは捜査機関です。何を目的に行動しているのかを判断するため、共謀罪の捜査では、盗聴、GPS、密告、スパイといった捜査手法が多用されます。

 捜査機関は現在でも人権侵害の捜査を繰り返しています。共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、プライバシー権を侵害し、捜査の公正性をゆがめます。

 戦前、治安維持法が審議された当時の若槻禮次郎内相は、同法が労働運動を制限するというのは「甚だしき誤解」だと繰り返しました。しかし、実際には、日本共産党だけでなく、労働組合、宗教団体、学生サークルなど、あらゆる団体が弾圧の対象になりました。

 ひとたび内心を処罰する法律をつくれば、時の政権と捜査機関次第で恣意(しい)的に解釈され、萎縮効果を生み、自由な社会をおしつぶしていく。これが歴史の教訓です。

 安倍政権は、特定秘密保護法、盗聴法の拡大、安保法制=戦争法を強行してきました。モノ言えぬ監視社会をつくる共謀罪は、これらと一体で日本を「戦争する国」に変質させるものです。

 だからこそ、各地方議会や、日弁連と全国47の単位弁護士会、日本ペンクラブ、言論・出版人、刑法学者有志など広範な団体が反対の声を上げています。日本共産党は、世論と運動と固く連帯し、必ずこの法案を廃案に追い込む決意です。


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