2017年4月7日(金)
「農業弱体化法案だ」
参考人批判 競争力強化法案可決
衆院農水委
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衆院農林水産委員会は6日、政府の農協介入を強める農業競争力強化支援法案を自民、公明、維新の賛成多数で可決しました。採決に先立ち同日開かれた参考人質疑では、参考人から意見を聴取した直後の採決という強引な日程に「(報道で採決すると知って)参考人質疑はどうなるのかと思った」(岡山大学大学院の小松泰信教授)との声が上がりました。日本共産党は法案に反対し、斉藤和子議員が討論に立ちました。
参考人質疑で東京大学大学院の鈴木宣弘教授は「法案は農業競争力強化ではなく弱体化法案になりかねない」と懸念を表明。農家の所得向上には、寡占的な農業資機材メーカーや小売りに対する農業協同組合の価格交渉力向上が必要なのに、法案は逆に弱めようとしていると批判しました。法案が「有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引」を努力義務として農業者に課そうとしているのも、農協ではなく企業との取引を求めるもので農協解体の一環だと指摘しました。
小松氏は、農村は食料生産・販売といった機能だけでなく、地域資源の管理やコミュニティー維持、伝統文化の育成、防災など多面的な役割を果たしていると強調。「法案はこうした役割の重要性を認識していないか、あえて目を伏せている」と断じました。政府の農産物輸出拡大戦略についても「農産物の輸出を語るのは、少なくとも自給率を60%に回復した後だ」と批判しました。
一方、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、法案の背景には環太平洋連携協定(TPP)による関税引き下げへの対応という問題意識があるとし、法案に賛意を表明しました。
反対討論で斉藤氏は、協同組合として自主性を尊重されるべき農協に対して政府が介入することになるもので認められないと主張。TPPのような農産物輸入自由化を前提とした安倍農政の転換こそ必要だと訴えました。