2017年4月4日(火)
主張
核兵器禁止条約交渉
歴史的な第一歩を踏み出した
ニューヨークで開催されていた、核兵器を禁止する法的拘束力ある協定を交渉する第1回の国連会議が3月31日終了し、核兵器禁止条約の実現に向けて、歴史的な一歩を踏み出しました。
市民と諸国政府の共同で
核保有国や日本などの「核の傘」に頼る国は禁止条約に反対し、会議をボイコットしました。しかし、参加した大多数の国は、これらの国に門戸を開きつつも、その参加を待つことなく、速やかに禁止条約をつくることで一致しました。ホワイト議長(コスタリカ)は「7月7日までに条約案の採択をめざす」と述べました。5月後半にも条約案が提示される見通しです。
会議では、前文の内容、禁止する項目などについても、突っ込んだ討議が行われました。引き続き議論と研究が必要な課題もありますが、人道的な見地から核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押して違法化する、使用、保有、開発などを広く禁止するという点では、大筋で一致したと言えます。核兵器禁止条約への流れはもはや後戻りできない確かなものとなっています。
それだけに、唯一の被爆国でありながら交渉参加を拒否した日本政府には、失望と批判が集まりました。日本政府不在の一方で、被爆者や日本の市民の代表が多数参加し、禁止条約を支持したことは、諸国政府を励ましました。ホワイト議長も閉会の際に「核兵器の被害者がこの1週間、私たちとともに居てくれたことに感謝したい」と語りました。
市民社会の活動が会議を成功に導く大きな力になりました。これまでも、国連などで非政府組織の代表に、発言の機会が特別に与えられることはありました。しかし、今回は、市民社会が会議の正式構成員として参加し、発言を認められました。全ての議事に市民の代表が参加し条約の具体的内容にも意見や提案を述べました。文字通り市民社会と諸国政府の共同で条約作りが進められた点が画期的です。対人地雷禁止条約など、市民社会と政府が協力した例はあります。しかし、核兵器という、大国の世界戦略を左右する問題で、こうした動きが生まれたことは、国際政治の歴史でも特筆すべきことで、大きな変化を感じさせます。
日本共産党も志位和夫委員長が「被爆者と日本国民の大多数はこの会議を支持している」と演説し、被爆国民の声を届けるとともに、38の国・機関に精力的に要請を行うなど会議の成功に貢献しました。
諸国政府の市民社会への信頼は、草の根の活動に支えられています。キム国連軍縮担当上級代表は、「核保有国の参加を促すには、世界の世論の広がりが必要です。署名運動はその重要な一つ」と述べ、ホワイト議長も「6月の会議にはたくさんの署名を持って来てください」と語りました。市民の意思を結集する「ヒバクシャ国際署名」の発展が期待されます。
国民的な運動の発展を
禁止条約を実現し、全面廃絶へと前進する上で、核保有国や日本政府などに迫る運動が決定的です。6月の会議に合わせ、ニューヨークではトランプ政権に反対する米女性団体、平和運動が禁止条約をめざす大規模な行進を計画しています。国際世論を広げるためにも、思想や政治的立場の違いをこえた国民的な運動の前進がいっそう強く求められています。