2017年4月3日(月)
原発再稼働審査の規制庁
東芝「天上がり」3人
16年10月
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原子炉メーカーである東芝から、原発再稼働の規制基準の適合審査をする原子力規制庁へ、2016年10月1日時点で3人の職員が「天上(あまあ)がり」していることが分かりました。「天上がり」とは「民間」から省庁など国の機関へ職員が就職・出向することです。
東芝は巨額損失を抱える一方で、原発再稼働により2016年度からの3年間で33%増、2000億円の売上高を目指しています。原子力規制庁によると、東芝から「天上がり」している3人はいずれも非常勤職員となっています。規制庁人事課の担当者は、「それぞれ専門的な知見を生かして、原子力関係の人材育成や調査研究、技術検査のサポートを担当している」と話します。
規制庁によると、非常勤職員の契約期間は1年間。任期終了後の再就職先について制限はなく、出身企業に戻ることも可能です。
「官民人事交流」 安倍政権が拡大
「民間」から国へ人材を受け入れるには、非常勤職員による採用のほか、(1)官民交流法にもとづく人事交流(2)任期付き職員(3)任期付き研究員(4)国家公務員への中途採用―などの制度があります。官民交流法は、一定の制限のもとで出身企業の身分を保ったまま5年を上限に公務員として働くことができる制度で、交流期間の終了後は出身企業へ戻ることが前提です。
第1次安倍内閣は07年5月に「官民人事交流推進会議」を立ち上げ、官民交流の「抜本的拡大」を推進。第2次安倍内閣は14年5月に官民交流法を改定し、官民交流の対象となる民間企業の範囲を拡大しました。
民間企業からの「天上がり」は、比較可能な統計のある01年には155社422人でした。16年には962社1996人と5倍近くへ急増しています。民間企業と政府の一体化が人事面でも進んでいます。(清水渡)