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2017年3月30日(木)

主張

「森友」と首相の妻

証人喚問拒否する根拠はない

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 2017年度予算が成立し、後半国会の焦点は「共謀罪」導入法案などの審議に移りますが、解明が半ばのままの大阪の学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げとそれへの政治介入の疑惑は、引き続き重要課題です。特に衆参予算委員会での籠池泰典理事長への証人喚問を通じて安倍晋三首相の妻、昭恵氏の関与の疑惑がいっそう強くなっています。首相は「自分や妻の関与が明らかになれば総理も国会議員もやめる」と発言してきただけに、その責任は重大です。籠池氏を証人喚問して昭恵氏を喚問しない理由はありません。直ちに喚問に応えるべきです。

国民の不信、批判広がる

 これまでの政府の説明に「納得できない」が74%(「日経」27日付)、昭恵氏を国会に招致すべきだ52%(「共同通信」同)―新聞やテレビの世論調査で、国民の不信は広がっています。安倍内閣への支持率も、「朝日」(マイナス3ポイント)「読売」(同10ポイント)「毎日」(同5ポイント)など、軒並み落ち込んでおり、国民の批判は政権に向かっています。安倍首相夫妻が、解明の責任を果たさないのは許されません。

 先週の衆参予算委での籠池理事長の証人喚問の際判明した、籠池氏側の借地契約見直しなどの要求に、昭恵氏付きの政府職員が財務省の国有財産審理室長に問い合わせて、ファクスで回答していたという問題は首相官邸もファクスを公開し、関与が誰の目にも明らかになりました。

 安倍首相や官邸側は昭恵氏付き政府職員が勝手にやったように言いますが、そんな「秘書が、秘書が」といった言い逃れは通用しません。昭恵氏が首相の妻だからこそ職員が対応し、財務省の幹部に問い合わせ、返事をファクスするなどというていねいな対応をしたのです。しかもその中では定期借地の期間を延ばして借地料を軽くするのは困難だが、土地改良費用の立て替え払いは「予算措置を調整中」などと籠池氏の要求に応えることが示唆されています。

 籠池氏からの職員あての手紙には土地の買い取りも含まれています。実際やりとりの翌年、予定地からごみが出たからと、「森友」の売却要求に、価格が8億円も引き下げられるという、まさに「神風が吹いた」(籠池氏の証言)ような不可解な値引き・払い下げが行われました。昭恵氏の関与の究明を抜きに、疑惑は解明できません。

 「森友」が開設を予定した小学校が一時「安倍晋三記念小学校」と名付けられていたことや、再三講演した昭恵氏が小学校の「名誉校長」だったこと、昭恵氏が「安倍晋三から」と「森友」に100万円を寄付した疑惑、籠池氏妻とのメールのやりとりなど、首相夫妻と「森友」との関係は数々あります。首相の妻だと「忖(そん)度(たく)」したから国有地の払い下げや学校開設認可に影響があったのではないかと疑いがもたれて当然です。

疑惑ただすのが国政調査

 安倍首相や菅義偉官房長官は昭恵氏のかかわりを否定し、昭恵氏は「私人」だとか、明確な不正があったわけでないなどと証人喚問を拒否しますが、犯罪の有無にかかわらず疑惑究明のため喚問するのが国会の国政調査です。自民党などが籠池氏の「偽証」を問題にするのなら、昭恵氏や財務省関係者などを証人喚問し、事実を究明する必要がますます高まります。


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