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2017年3月27日(月)

主張

「国鉄民営化」30年

国民の足は守られているのか

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 国鉄が分割民営化され、北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州・貨物の七つのJRグループ会社が発足して4月1日で30年となります。いまJRは国民が願う公共交通・輸送機関としての役割を果たしているでしょうか。

加速する廃線・無人駅化

 全額政府出資の公共企業体・日本国有鉄道(国鉄)は1987年に解体されました。JR7社に分割され、「債務」は「清算事業団」に継承され、大量の現役労働者が不当解雇されました。

 「“赤字解消の特効薬”どころか、北海道・四国・九州の各旅客会社、貨物会社など次から次へと新しい赤字会社をつくりだす」「もうけ本位の営利主義をとるために、ローカル線はもとより、赤字であれば幹線でさえも切り捨てられる」―これは国鉄分割民営化法案が国会審議中の86年秋に日本共産党が発表した国民への呼びかけです。JR30年の経過は、残念ながらこの警告が裏付けられました。

 利益追求を優先する民営化の下で、「国民の足」は脅かされる事態となっています。2000年度以降、全国で廃線となったのは39路線771・1キロに上ります。きびしい経営状況にあるJR北海道はとりわけ深刻です。昨年11月、10路線13区間(1237・2キロ)を自社単独で維持できないと発表したことは道民に衝撃を与えました。全区間の半数が廃線の危機にひんする中、廃線予定路線の沿線自治体では、高齢者の病院通いや高校生の通学に困難をもたらし、地域経済にも大きな影響を与えるとして、首長をはじめ地域ぐるみで反対の声が上がっています。

 麻生太郎財務相は今年2月の国会で「国鉄を7分割して黒字になるのは(東海、東日本、西日本の)三つで他のところは(黒字に)ならないと当時からみんな言っていた」と答弁しました。当時、“ローカル優先のサービス”“ご安心ください”とさんざん宣伝していたのは自民党ではないのか。無責任きわまる姿勢です。

 安全はどうか。民営化後、「重大な人的被害を生じた運転事故」は11件も発生しています。死者107人負傷者562人という大惨事となった福知山線脱線事故では、JR西日本の「企業体質」が大問題になりました。私鉄との競争に勝つためのスピードアップと過密ダイヤが事故の要因になったのではないかなど「安全より利益を優先する」姿勢が批判されました。

 「無人駅化」の加速は利用者、住民に不安を広げています。JR北海道と四国は75%、西日本は56%、東日本と九州は半数の駅が無人化されています。大幅な人員削減と一体で、安全とサービスを低下させることは許されません。

検証と見直しこそ必要

 JR北海道、四国、九州、貨物は鉄道事業ではマイナスの営業利益が続く一方、東海は5500億円超もの巨額な利益をあげるなど「二極化」は顕著です。安倍晋三政権は、いびつな構造を放置したまま、“廃線危機”の北海道にはまともな支援をせず、東海のリニア事業に3兆円もの公的資金を投じようとしています。あまりにも逆立ちしています。「JR30年」の検証・改革こそ必要です。鉄道、バス・自動車、航空機などを含め交通政策を抜本的に見直し、国民に交通・移動の権利を保障する政治への転換が求められます。


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